はじめての露出

 はじめての露出

　すっかり陽が傾いて、教室はオレンジ色。
　ボクは机に座った女の子に、絆創膏を貼ってあげた。
「今日は楽しかったね!」
　女の子は上機嫌に微笑んだ。
「うん。ボクも楽しかった」
　コワイ思いはしたけど、いっぱいドキドキしたし。
　デートはしたことないけど、こんな感じなのかな?
　いっぱいドキドキして、楽しく過ごして、別れ際はちょっと寂しい…。
「ねぇ、明日も“探険”するの?」
「ううん。しばらくしない」
「なんで?」
「今日、いっぱいドキドキしたし。
　続けてやると、ウワサになっちゃうでしょ?」
　まぁ、そうだよね…。
　ちょっと残念な気分。
「ねぇ、体験倶楽部に入らない?」
　うん。そうなんだ。
　ヘンな子だけど、ボクはまた遊びたかったんだ。
「うん。考えとくね!」
　女の子が、ピョンっと飛び下りる。
　ツーテールの黒髪がうさぎの耳みたいに跳ねた。
「また遊ぼっ! じゃあね!」
　あっと言う間もなく、教室からツーテールの黒髪が消えて。
　ボクは大事なことを思い出した。
　名前、聞きそびれちゃった…。