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【@右巻きソフトウエア】 「初・体験教室」 「ま〜めいど★ハンター」 「怖くない怪談」 「ないしょのえろカタログ」
はじめての生徒指導室
ボクとさやちゃんは、生徒指導室っていうところに連れて行かれた。
北側の狭い一室に、机がひとつ。資料の入ったロッカーと、折り畳み椅子が壁際に並んでた。
なんの部屋なんだろ? ボクははじめて入ったよ。
「取調室よ」
キョロキョロしてたら、隣に座ってるさやちゃんが、不機嫌そうに呟いた。
「取調室…?」
刑事ドラマのワン・シーンが思い浮かんだ。
つまり、小田先生が刑事さんよろしく、ボクらは延々、お小言を聞かされるんだね。
でも、お小言だけですむのかな…。
だって、授業を抜け出してえっちしてたんだよ? ものすごい重罪だよね…。
はぁ…。つくづく、ため息出ちゃうよ…。
サボるなんてはじめてだったのに、見つかっちゃうなんて、ホント、ボクって運がないよね…。
初犯ってことで、許してくれないかな…?
せめて見つかったのが、ゆり先生だったらよかったのに…。
わるいのは自分なのはわかるけど…ハァ…。
暗い気持ちでいたら、小田先生が生徒指導室に戻ってきた。
小田先生は、汚されたスーツを着替えて、いつものジャージ姿。
お化粧も落として、スッピンみたいだった。
いつもの小田先生っぽい。
先生は無言でボクらの向かいに座ると、怒った顔で腕を組んだ。
ボクはズボンが苦しくなって、思わず俯いちゃった。
うん。Tシャツが少し透けてて、ピンク色のブラがうっすら見えちゃってたんだ…。
「さて。ふたりは授業中に、あそこでナニをしていたのかしら?」
小田先生は静かな口調だったけど、ボクは何もいえなくて、ションボリうなだれた。
「先生こそ、授業中になにしてたんですか〜?」
さやちゃんがいうと、小田先生は目をパチクリ。
「いまは図工の時間だもの。
そうよね? 早川さん?」
図工の時間は、担任の先生じゃなく、美術の立花先生の受け持ち。
そしてさやちゃんの担任は、小田先生。
空いた時間に小田先生は、校内の見回りをしていたんだろうね。きっと。
「……」
切り返されたさやちゃんは、返事の代わりに口を尖らせ、鼻に皺を寄せた。
「鈴代は? 何の時間?」
「音楽です…」
うん。音楽も、担任の先生じゃないんだ。
教室も音楽室に移動。
席は決まってないから、その時ごとに、親しい子同士で座ったりするんだ。
ボクは特にそういう子もいないから、一番後ろの端っこの、余った席に座ってた。
それで出席をとり終わってすぐに、さやちゃんが扉のスキマから、ボクを呼んできたんだ。
いけないことだとは思ったんだけど……誘われるまま、こっそり抜け出しちゃった。
でも、さやちゃんのせいにするつもりはないよ?
清太くんたちからサボッた時の話しを聞いて、ボクもやってみたくなっちゃったんだ。
だってボクだけ、そういう話しができないんだもの。
きっとさやちゃん、そんなボクに同情してくれたんだと思う。
ついこの間まで、ボクに友達がいなかったこと、知ってるから…。
だから一回だけなら…って、ボクはそう思っちゃったんだ。
「で、サボッてえっちしていた、と」
「……」
「……」
ボクもさやちゃんも、なにもいえなかった。
「まぁ、ふたりが仲良くしたいのはわかるわ。
先生にも、そういう時期はあったもの。
でも、試しにやってみるとか、そんな年じゃないわよね?
やろうとしてることの結果を、考えるようにしなきゃ」
「ちゃんと気をつけてるもの」
仏頂面のまま、さやちゃんがいった。
「節度を考えなさい、そういってるのよ?
ホラ、鈴代の目を見てみなさい。
疲れが抜けずに、クマができてるじゃない。かわいそうに…」
「先生がストーカーしてるから、よく眠れないだけよ」
さやちゃんがいうと、さすがに小田先生もムッとしちゃった。
「鈴代の成績が落ちてるって、緑川先生から聞いてるわよ?
早川さんもそうね。
この間の漢字テスト、ひどかったわよ」
「でも、算数のテストはよかったわ。
ハジメと教えあったから。
ね? ハジメ?」
「う、うん…」
思わず頷いちゃったけど、大丈夫かなぁ…。
小田先生、かなり怒ってるっぽいよ?
「そういう問題じゃないでしょ。
もうすぐ高学年なのに…。
やっていいことと、わるいことの区別をつけなさいって、いってるの」
「あたしのポッチー食べたクセに…」
ああいえばこういう。
屁理屈なのはわかるけど、さやちゃんを改めて見直しちゃった。
うん。そうだよね。
ボクだったらなにもいえず、ションボリ謝るしかないもの。
やっぱり、さやちゃんはスゴイや。
「早川さん。あなたの言い分はよくわかったわ」
小田先生は、呆れたようにため息をついてた。
「でも、自分が正しいと思うなら、まず、いうべき言葉があるわよね?」
えと。なんだろ…?
ボクは思いつかなくて、さやちゃんを見ちゃってた。
「授業をサボッてわるかったです。
ごめんなさい」
さやちゃんがそういうと、ボクも慌てて謝った。
「ご、ごめんなさい…」
小田先生は、また大きなため息をついた。
「よろしい。
ちゃんと反省しなさいよ?」
小田先生はニコリともしなかったけど、ひとまず溜飲は下がったみたい。
「は〜い」ってさやちゃんの返事を聞くと、先生は怒らせてた肩を下げた。
それを見て、ボクもホッとひと安心。
うん。そうだね。
もっと厳しく怒られると思ったもの。
いつもみたいに、「校庭十周!」とかね。
「ところでふたりとも、えっちするの大好きよね?
サボッて、スルくらいだもの」
打って変わってニッコリ、小田先生は机に頬杖をついた。
まぁ、キライじゃないよね…えっちするのは。
「でね。先生、思うのよ。
ふたりとも、体験倶楽部に入らないかって」
ボクとさやちゃんは目を見合わせちゃった。
「体験くらぶ?!」
そんな部活動、あったっけ?
ボクは首を傾げ、さやちゃんは訝しげな目を先生に向けた。
「それって、体験教室とどうちがうんですか〜?」
ていうか、マンマな名前だよね…。
「さすが早川さんね。
話しが早くて、先生、助かるわ〜」
褒められたさやちゃんは、なんだか微妙な顔をしてた。
「ほら、体験教室に参加できなかった子って、いるでしょ?
そういう子ほど、無茶する傾向があるのよ」
ふーん。そうなんだ。
「あなたたちみたいに、暴走しちゃう子もいるしね」
あぅ…。
「それでね。えっちしたい子が、気軽に集まれる場所を作ろうと思ったの」
コホンと、先生は咳払いをした。
「正式には、“ドキドキわくわくを発見して、上手なセックスを体験する倶楽部”ね。
節度あるえっちを学ぶのが目的だけど。
他にもいろんな、ドキドキ、ワクワクなことを、初等部の純真な目で見つけ出すの。
きっとオトナになったら、いい思い出になると思うわ〜〜〜〜♪」
小田先生は瞳をキラキラ、星のように輝かせ、ボクとさやちゃんは、薄らさむい予感でゲンナリ…。
うん。そうだよね…。
絶対、思い出したくないものばかりになりそうな気がするよ…。
だって体験教室でも、恥ずかしいことがイッパイだったもん…。
「どうかしら?」
どうって…先生…。
えっちするクラブって、クラブ活動っていうのかな…?
ていうか、わざわざクラブに入らなくても、えっちはできるし…。
「SOS団の方がしっくりくるんじゃない?」
さやちゃんは椅子の背に肘をのせて、頬杖をついてた。「まったく興味ナシっ!」っていいたげ。
「SOS団?」
「セックスを、おもいっきり楽しむ、さやちゃん先生による、団体」
くすっ。たしかにそんな感じだね。
ちなみに小田先生の名前は、“さやか”っていうんだ。だからアダ名が“さやちゃん先生”。
「つまるところ。
さやちゃん先生が、えっちしたいだけでしょ?
なんで、あたしたちが入部しなきゃいけないんですか〜?」
「優等生のふたりが入ってくれれば、他の子たちも興味をもってくれるでしょ?
早川さんは面倒見いいし。
鈴代は女子の間で、いま一番の注目株だしね」
そういって小田先生は、ボクにウィンクをした。
なんか、顔が火照っちゃった。
「先生が狙ってるだけじゃない…」
さやちゃんがブスッと呟き、小田先生はニッコリ。
「なにかいった? 早川さん?」
さやちゃんは椅子に座り直し、背筋をピンっと延ばした。
「あたし、もう新体操部に入ってます」
「あらあら。そうだったわね…。
掛け持ちじゃ、タイヘンよねぇ…」
「ですよね〜」
「どっちも、がんばってね!」
「だ〜か〜ら〜!
ムリですってっ!!」
「じゃ、鈴代だけでもいいわ」
「ちょっ――!」
「鈴代、クラブに入ってないでしょ〜?」
小田先生は机に身を乗り出すと、ボクの顔を覗き込んだ。
「タマには他の女の子と、シてみたいわよね〜?」
Tシャツの襟首から、おっぱいの谷間とピンク色の下着が目に入って、ボクのおちんぽはコッソリ、ピョコンしちゃった。
「え、えっとぉ…」
返事と目のやり場に困って、ボクはモジモジ…。
そしたら、さやちゃんがピシャリといったんだ。
「ハジメはあたし以外とえっちしません。
あたしと付き合ってるんです!!」
ボクは思わず、さやちゃんの顔を見ちゃった。
「え? そうなの?」
「そうでしょ?!」
「う、うん、そうだよね…」
グッとさやちゃんに睨み付けられ、ボクは背を丸めてちっちゃくなっちゃった。
でも傍目とちがって、ボクはうれしさでいっぱい。
だって、「付き合ってる」って、さやちゃんがいってくれたの、はじめてだもん。
ボクは頬が緩んじゃう気がして、それを隠そうと俯いちゃったんだ。
「まぁ、まぁ、痴話ゲンカはあとにして〜」
「痴話ゲンカなんてしてないですっ!」
小田先生がからかって、さやちゃんがなんかムキになってて。
ボクはなんか、じ〜んとして、「付き合ってる」って言葉を心の中で反芻しちゃってた。
そしたら話しは、ふいに終わりになってたみたい。
「入部するかどうか、ちょっと考えててくれる?
先生、その間に報告書、書いちゃうから」
って、小田先生がいってきたんだ。
「報告書…?」
顔をあげると、小田先生は白い紙にボールペンを立ててた。
「この時間、生徒指導室でふたりになにをしていたのか。
報告するのは、先生の義務だもの」
さやちゃんが再び、険しい目で小田先生を睨んだ。
「なんて報告するの?」
「なんて報告したらいいかしら?」
先生は紙から目を放し、ボクらを見た。
「サボッたふたりに、教育指導をした。
って、正直に書いた方がいい?」
そしたら、どうなるんだろ…。
停学とかに、なっちゃうのかな…。
「先生としては、ふたりから倶楽部創設の相談を受けてた、ってことにしたいんだけど。
どう思う?」
それって…。
「先生、ズルイ!!」
大きな声をあげて、さやちゃんが立ち上がった。
「サボッてたって報告されたくなきゃ、倶楽部に入れってコトでしょ?!
それって、脅しじゃないっ!
やり方がきたないわっ!!」
真っ赤な顔のさやちゃんに、小田先生はニッコリ。
「あら。サボッてたのは事実でしょ?
先生がそれを発見したのも、事実。
黙っててあげようと思うのは、わたし“個人”の思いやりよ?」
そういうと小田先生は、ボクにその笑顔を向けてきたんだ。
「さて。返事を聞かせてくれる?」
「これだから、オトナって信用ならないのよ…。
聖職者のクセして…信じらんない…!」
さやちゃんはプンスカ、廊下を早足で歩いてた。
並んで歩くボクは、追いつくのもタイヘン。
「あたしのポッチー食べたクセに…ごちそうさまもナシなんて!
日本の教育は腐ってるわっ!!」
あはは。怒るトコはソコなんだ。
「体験倶楽部なんて、ダレが出てやるモンですかっ!
アンタも出ちゃダメよ?!」
うん。そうなんだ。
結局、ボクらは入部することになっちゃったんだ。
うん。そんなに嫌がることじゃないかもしれないけど…。
さやちゃんは、強制されることが大っキライでしょ?
ボクは人見知りが激しいから…知らない子たちに混じるなんて、とっても不安…。
それに二人とも、なんかワナにはめられたみたいで、すごく後味がわるかったんだ。
「でも…。
倶楽部に出なかったら、サボッたことを報告されて、停学になっちゃうかも…」
ピタッと、さやちゃんの足が止まった。
「他の子とシても、小田先生とは、えっちしちゃダメよっ!
いい? ゼッタイっ! ゼッタイだからねっ?!」
そうボクにいうと、さやちゃんは勢いよく、女子トイレのドアを開けた。
バタンッ!
って、ドアが閉まって、ついで中から…。
「こんなトコでえっちしてんじゃないわよっ!! 変態発情猫!!」
って、さやちゃんの怒鳴り声が聞こえた。
ホッと、ボクは胸を撫で下ろしちゃった。
うん。そうだね。
いつもながら、さやちゃんの癇癪ってスゴイよね。
ボクがターゲットじゃなくてよかったよ。
それにしても…。
みんなになんて話そう…?
ボクは知らず、ため息をついてた。
うん。実は事態は、ボクらふたりだけで済まなかったんだ。
それは“ホテル”のこと。
体験倶楽部の活動場所、体育館の舞台地下なんだって。
みんなの“ホテル”を、取り上げられちゃったんだ。
はぁ…ため息でちゃうよ…。
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