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【@右巻きソフトウエア】 「初・体験教室」 「ま〜めいど★ハンター」 「怖くない怪談」 「ないしょのえろカタログ」
はじめてのコスプレ
放課後の体育館は、女子のバレー部が練習をしてた。
なんだか、入りにくい。
「バレー部がいるよ?」
「気にしな〜い♪ 気にしない♪」
さやちゃんは事も無げ。鼻唄まじりに体育館へ入る。
「体験教室でも、倶楽部でも、みんなの前でシてるじゃない」
「そ、そりゃ、そうだけど…」
他のみんなもえっちしてるんだもん。だから恥ずかしくないけど…。
「ていうか、みんなの前でえっちするの?」
「シないわよ。露出狂のヘンタイじゃあるまいし。
スルのは舞台地下で、でしょ?」
まぁ、そうだけど…。
ボクは気がススまないながらも、スキップするようなさやちゃんの後を追った。
七夕が過ぎた昼休み。
ボクはひとりだけの教室で、まだ給食を食べてた。
うん、そうだね。いつもの通り。
ボク、食べるの遅いんだ。別にキライな物があるわけじゃないんだけどね。なぜかみんなより遅くて、放課後まで残されちゃうこともある。ひとりぼっちで給食を食べるのも慣れっこ。
でもその日は、教室にさやちゃんが入ってきたんだ。
「ハジメ、まだ食べ終わってない…」
うん、珍しいね。さやちゃんが昼休みに訪ねてくるなんて。いつもは隣のみんなとドッジボールしてるのにね。
「仕方ない。
手伝ってあげるか…」
さやちゃんはボクの前に座って、大げさなため息をついた。
「あ、ボクのプリン…」
さやちゃんはプリンのカップを取ると、ずるずるぅ〜と、ひと飲みするみたいに食べちゃった。
「ん〜。おいしい〜♪」
ご満悦の笑みに、ボクは恨めしくスプーンを銜えた。
「あう…。ヒドイよぅ…楽しみにしてたのにぃ…」
「そうなの?
アンタがプリン好きだなんて、大発見だわ!」
ウソくさいなぁ、もう…。
「プリンがキライな子なんていないよぅ…」
家に帰れば食べられるけど、給食のプリンはそういう既製品とはちょっとちがう。
特別の味なんだもの。楽しみじゃない子なんていないよぅ…。
「それもそうね」
さやちゃんはワザとらしく眉をあげると、隠し持っていたものを出した。
「はい。お・詫・び」
それは特大カップのプリンだった。
さやちゃんのお手製かな…?
売ってるようなやつとカップがちがうし、冷蔵庫から出してきたばっかりみたいにひんやり。
「い、いいの?」
「うん! 食べてみて」
さやちゃんのお手製なんてはじめて!
うん。そうだね。
好きな子の手料理なんて、とってもうれしくなっちゃうよね?
スプーンも震えちゃうよ!
ボクはドキドキしながら、ひとすくい。
どんな味だって、喜んで褒めてあげるつもり。
でも出てきた言葉は…。
「う゛〜…ヘンな味ぃ〜〜」
ボクの渋い顔を見て、さやちゃんはケラケラ笑ってた。
「ゆ〜り〜印のプリンだもん〜」
なんだ…さやちゃんのお手製じゃないのか…。
落胆の反面、なぜかスプーンが進んじゃう…。
うん。ゆり先生の料理っていつもそうなんだよね。
後を引くっていうか、ついつい食べたくなって、口に運んじゃう…。
そしたら、頬杖ついてるさやちゃんが、いきなりいってきたんた。
「ねぇ、えっちしようよ」
「ブッ!」
吹き出したボクに、さやちゃんは顔をしかめた。
「汚いなぁ…もう…」
「だ、だ、だっていきなりだし! 誰か来ちゃうよ!」
「放課後よ。放課後。
決まってるでしょ?」
それならそうといってくれればいいのに…。
ボクは牛乳を飲んで、ホッとひと息。
「でも、今日は倶楽部ないよ?」
“ホテル”がなくなってから、そこらへん不便だよね。
「大丈夫。ゆり先生に許可もらってるから」
ニッコリいうと、さやちゃんは手の平を開いた。
「スプーンかして。食べさせてあげる」
「い、いいよ」
誰もいないとはいえ、恥ずかしいもの。
でも、さやちゃんはおかまいなし。
ボクからスプーンを奪って…。
「ホラ、あ〜〜ん♪」
って、ひとすくいしたプリンを出される。
仕方なし、ていうか気恥ずかしく思いながら、ボクはさやちゃんのスプーンをパクッと銜えた。
「おいしい?」
「う゛〜。やっぱり、ヘンな味〜〜」
愛がないよ、愛が。
さやちゃんのお手製なら、きっとどんな味でもおいしいのに…。
でも、さやちゃんは上機嫌でニコニコ。
うん。ヘンだよね、女の子って。
男子を病人だか、子供あつかいして喜ばぶんだもの。
思いながら、運ばれるプリンを口にして、ボクはフッと思いあたったんだ。
そういえば。さやちゃんとはしばらくシてなかったっけ…。
「うん! えっちしよう!」
おちんぽがピョコンしながらいうと、さやちゃんは満面の笑みで、プリンの乗ったスプーンを出した。
「じゃ、放課後。
コスプレえっちでね!」
「え…?」
それはちょっと想定外。
「王子様の衣装もあるし。
シてみたくない?」
「よく知ってるね…」
「市川さんに聞いたから」
ボクは目がまん丸になっちゃったよ。
だって“鬼ごっこ”で、あんな派手な口ゲンカしてたんだもん。
「いつ仲直りしたの?」
「なにが? ケンカなんてしてないわよ?」
なんだか釈然としないまま、ボクは急かされたスプーンをパク!
うん。女の子って、不可思議だよね…。
部室で王子様に着替えさせられて、ボクは思った。
なんだか、ウマくノセられちゃったのかな…。
肩が膨らんだ半袖シャツに、カラフルなカボチャ・パンツ。金色の紙製の冠。
姿見がないから、全体は見られないけど…。似合ってないよ、絶対。
でも、さやちゃんは手の平を打って大喜びなんだ。
「きゃ〜! イイ感じ〜!
いかにも、苦労知らずの“幸福の王子”よね〜」
それ、褒められてるの…?
「冗談よ、冗談!」
さやちゃんはボクの後ろに回ると、ポンっと肩に両手をのせた。
「よく似合ってるわよ、あたしの王子さま」
そういうと、ほっぺたにチュッ!
うん。ボクって単純だよね。
ご機嫌とりなのはわかってるけど、ついうれしくなっちゃう。
でもさ…。
「……なんで手を縛るの?」
気がつくとボクは、なぜか後ろ手にハンカチで縛られてた。
「無実の罪で、投獄された王子様だから」
「え〜〜っ! なにそれ〜?!」
ボクの不平にも動ぜず、さやちゃんはニッコリ。
「服を着ただけ、なんてツマんないでしょ?
いつもの“尋問ごっこ”!」
“尋問ごっこ”は、さやちゃんがお気に入りの遊びなんだ。
たわいもないことを聞かれて、くすぐられたり、えっちなことしたりする。
でもボクは、あんまり好きじゃない。
だって、尋問されるのはいつもボクなんだもん。
オモチャにされて、うれしい人はいないよね?
う、うん。コーフンしちゃうけど…。
「コスプレえっちなんだから、シチュエーションは大切よ?
その方が盛り上がるし!」
そういうモンなのかなぁ…。
「シチュエーションなら、他にもいろいろあるんじゃない?」
「例えば?」
「舞踏会で出会った、お姫様と王子様とか…」
「……なに激甘スイーツみたいなこといってんの?
ハジメって、女の子みたいね」
「王子様をせがんだクセに…」
「女の子はね、80%のリアリティの中に、2%のロマンを求めるものなの」
それって、なんかおかしくない? 18%も足りないよ?
「残りの18%は?」
「刺激♪」
そういうとさやちゃんは、黒い布でボクの目を塞いだ。
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「ちょ、ちょっと、目隠しまでするの…?」
「縛るだけじゃ、いつもと変わらないしね〜♪」
はぁ…。ため息でちゃうよ。
手を縛れて目隠しまでされたんじゃ、もう観念して付き合うしかないね。
「ボク、なんの罪で投獄されたの…?」
「そうねぇ…。
こっそりケーキをツマみ食いした、とか?」
ギクんッ!
まさか、さやちゃん、澄子ちゃんとえっちしたこと、知ってるのかな…?
うん。さやちゃんって、妙に勘がいいんだよね。
だからババヌキで勝った試しがないんだ。
ボクはなにをいうのもヤブヘビに思えて、全身から冷や汗が出る思い。
「なんか、隠してな〜い?」
「な、なんにも、隠してないよ?」
スッと衣擦れの音がして、ボクはいきなり、下半身がスースーした。
「きゃっ!」
ボクは思わず、女の子みたいな声だしちゃってた。
どうやらカボチャ・パンツと一緒に、下着まで下げられちゃったみたい…。
「さあ、これで逃げられないわよ!」
「逃げるもなにも…」
両手縛られて、目隠しされたんじゃ、脱がされなくても逃げられないよ…もう…。
「ねぇ、さやちゃん…?」
さやちゃんの気配が遠のいて、ボクはちょっと不安になってた。
「なぁに?」
ちょっと離れたところから声が聞こえて、ボクは心底、ホッとした。
うん。そうだね。
目隠しがこんなに不安になるなんて、思わなかったよ。
「ねぇ、なにしてるの?」
「着替えるの」
そうだったね。さやちゃんはまだ着替えてなかったね。
でも黙っていられると、すごく不安。
なんでもいいから、ボクはさやちゃんの存在を感じていたかった。
「ねぇ、なにに着替えるの?
やっぱり、お姫様?」
「ナニかは、お・た・の・し・み!
すぐ戻るから、ちょっと待っててね」
「こ、この格好で?!
ていうか、ドコに行くの?!」
さやちゃんはボクの問いに答えず、ドアの閉まる音だけがした。
どうやら、ホントに部室から出ていっちゃったみたい。
着替えなんて、ココでできるのに…。
ボクは大きなため息をひとつついた。
はぁ…。ホントにウマくノセられちゃったなぁ…。
さやちゃん、きっと澄子ちゃんとえっちしてたの、知ってるんだよ。
そりゃ、黙ってえっちしたボクもわるいけどサ。
「さやちゃんのイジワル…」
ひとりグチると、部室の中はシーンとした空気だけになった。
体育館からのバレー部の声が、妙によく聞こえる。
なんだか取り残され感がひしひし…。
こんなトコ、誰かに見られたらどうしよう…。
おちんぽ丸出しの目隠し王子様なんて…ヘンタイさんもいいトコだよぅ。
涙がでてきちゃいそう…。
でもでも、今日は倶楽部もないし。
半地下の入り口も目立たないトコにあるから、誰も来ないだろうけどね。
ドンっ!
いきなりドアが叩かれて、ボクは飛び上がっちゃった。
「ほら、ちゃんとレシーブ返して!」
「すみませ〜ん!
ボール取ってきま〜す」
なんて、バレー部のやりとりが聞こえた。
どうやらボールが迷い込んで、ドアを叩いただけみたいだね。
ホッと安堵。
あ。でも、いまのでドアが開いて、ボールを取りに来た子が入ってきちゃうかも…。
そしたら「ヘンターイ!!」って、悲鳴をあげられて、ボクはヘンタイ王子で全校に知れ渡っちゃう…。
ど、どうしよう…。隠れることもできないし…。
ドキドキ、ビクビク…。
ボクは不安で、不安で、落ち着かない。
不安などころか、このまま放置されっぱなしで…なんて、コワイ考えまで浮かんじゃう…。
早く戻ってきてよぅ、さやちゃん〜〜〜。
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