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はじめての淑女協定


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【@右巻きソフトウエア】 「初・体験教室」 「ま〜めいど★ハンター」 「怖くない怪談」 「ないしょのえろカタログ」


はじめての淑女協定


 いつもの放課後。
 更衣室を出ると、さやちゃんと美代ちゃんが仲良く談笑してた。
 さやちゃんはボクを見つけると、ニッコリ笑顔を向けてくれた。
「これから倶楽部?」
「う、うん。さやちゃんは、新体操部?」
「中等部とね。合同練習」
 体操着なんて見慣れた服装なのに、さやちゃんの目がボクの首辺りに止まった。
 隣の美代ちゃんは、真っ赤なおデコで俯いちゃった。
「ふ〜ん…」
 かわいらしい、ピンクの首輪は美代ちゃんの。
 『佐藤美代のミケ』って書かれてる…。
「アンタって、女の子だったの?」
「へ?」
「美代ちゃんったら、もう〜。
 三毛猫って、メスしかいないのよ?」
「そ、そうなの?」
 びっくり顔の美代ちゃんに、ボクは吹き出しちゃった。
「あはは。美代ちゃん、うっかり屋さんだね!」
「ねぇ、ハジメ?
 スカート、履いてみない?」
「や、やだよぅ〜」
 さやちゃんの冗談って、冗談じゃすまないんだもん。
 いつかホントに、履かされちゃいそうだよ…。
「うふふ。はじめくん、似合いそうだね!」
「美代ちゃんまで…やめてよ、もう…」
 ため息でちゃうよ。
「ねぇ、さやちゃん?
 あとで、図書室で会える?」
 話しをそらせて聞くと、さやちゃんはニベのない返事だった。
「あ〜ダメ。
 今日は遅くなると思うから。
 きっと図書室、閉まっちゃうわ」
「残念…」
 今日は“週刊きょうりゅうのかがく”が入る日。
 だから一緒に見ようと思ったのに。
「なに? 美代ちゃんとシたあと、あたしともシたいの?
 絶倫スケベ!」
「はじめくんの浮気者…」
「そ、そんなんじゃ…」
 ニヒヒって、さやちゃんはイジワルに笑って。
 ぷうっと、美代ちゃんはほっぺた膨らませて。
 ふたりとも、ケンカ中と思えないほどの仲良しぶり。
 ふたりでボクが困るのを、楽しんでるみたい。
 仲良しはいいけど…ため息でちゃうよね。
「安心なさいよ。
 明日はあたしの首輪♪」
 そういうと、さやちゃんはチュッと、ボクの唇にキスをした。
「あー!! さやちゃん、淑女協定!」
「まだ部室じゃないも〜ん♪」
 ベーってしながら、さやちゃんが走り去って。
 美代ちゃんはプンスカしながら、頬を緩ませてた。
 ボクはまだ、曖昧に顔を赤くするしかなかった。
 うん。そうだよね?
 きっとね、優柔不断って、みんなは笑うかもしれないけど。呆れるかもしれないけど。
 ボクらはまだ初等部だもの。
 少しぐらい曖昧があっても、いいよね…?

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