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えっち 08の変更点

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!!!はじめての倶楽部

 あのお見舞いの日から、週が明けて。
 美代ちゃんはまた学校に来るようになってた。
 腫れてたほっぺも元通り。
 でもボクとは、ギクシャクを通り越してた。
 避けられてるっていうより、もう無視されてるって感じ。
 完全に嫌われちゃったみたいだよ…。
 うん…。ひとりぼっちだった時より、ツライ…。

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//--
 そして週末。
 体験倶楽部の招集があった。
 月曜に話しがあったとはいえ、ちょっと急だよね?
 もう。小田先生ってば、なんでも思いつきなんだから。
 でも、はじめての倶楽部。
 ゆり先生のいうとおり、なにかいいことがあればいいけど…。
 美代ちゃんのこともあって、どんより、気が晴れない。
 指定どおり体操着に着替えたボクは、不安な気持ちを引きずって、集合場所の体育館へ向かってた。
 そしたら廊下で、オヤジくんとゴローくんを見つけたんだ。
 ボクは小走りに近づいて、後ろから声をかけた。
「ふたりも入部するんだね!」
 放課後に体操着で体育館に向かってるってことは、そういうことだよね?
 案の定、オヤジくんはゆっくり頷いた。
「うむ。鈴代だけのハーレムにはさせないぞ」
 ハーレムって…。
 苦笑いのボクの肩を、オヤジくんがポンっと叩く。
「まぁ、安心しろ。
 オラは見てるだけだ」
「見てるだけ…?」
「うむ。飛び箱の中からとかな」
「オヤジ…そりゃ、覗きだろ…」
 ゴローくんがいつも通りツッコんで、ボクはクスリと安心した。
 うん。知ってる子が一緒だとホッとするよね。
「他のみんなは?」
 オヤジくんとゴローくんだけなのかな?
「みんなは別の用があるからな」
 歩きだしながら、ゴローくんが答えてくれた。
「別?」
//	「大政は、華道部。
//	「大政は、茶道部。
「大政は、囲碁部。
 小政は、空手道場」
//	 小政くんはわかるとして。大政くんが華道部って意外。
//	 小政くんはわかるとして。大政くんが茶道部って意外。
 小政くんはわかるとして。
 大政くんは囲碁部なんだ。体が大きいから、運動系だと思ってた。
//--
「半太は、新妻にゾッコンだしな」
「新妻…?」
 ゴローくんとオヤジくんは、ニヤニヤ笑いあってた。
「清太くんは?」
「清太は校庭だ」
「校庭…」
 校庭部って、ナニするんだろ…? お掃除とかかな?
 なんか、清太くんに似合わないなぁ。
「鈴代、魔法のインク、知ってるか?」
 うん。ちょっと前に流行ったおもちゃだね。
 スパイセットの魔法のインク。
 時間が経つと消えちゃうヤツ。
 でも、それと校庭部がなんで繋がるんだろ?
「今日、国語で習字があってさ。
 先生の墨汁を、それと取っ替えたんだ。
 しばらくしたら、黒板のお手本が真っ白な半紙に戻っちゃってサ。『せんせ〜い、お手本が見えませ〜ん!』
 先生、キツネに摘まれたみたいな顔してんの!」
 想像したら、吹き出しちゃった。
「で、取っ替えた犯人はいま、校庭十周の真っ最中ってワケなんだ」
「あはは! 清太くんらしいっ!」
「倶楽部に来ても、ヘトヘトでえっちどころじゃないだろうな」

 体育館に入ると、もう何人かの男子・女子がいた。
 あちらこちらに仲良し同士固まって、小田先生が来るのを待ってるみたい。
///
//	 うん。あの子は来てないみたい。
///--
「思ったより多くないね」
 ボクがいうと、ゴローくんは頭の後ろに手を組んだ。
「体験教室の後だからな。秋になれば増えるかもな」
「すっずしっろく〜ん♪」
 ポンっとたたかれて振り向くと、市川さんがいた。
「市川さんも入部?」
「うん。
 美代ちゃんもいっしょだよ?」
 美代ちゃんは、ぷいっとそっぽを向いてた。
//美代ちゃん
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//--
「が、学級委員だから…」
 前髪を分けたおデコを真っ赤にして怒って、ボクとは話したくないって感じ…。
「あたしが誘ったんだ」
 市川さんが美代ちゃんのふくれたほっぺをツンツン。
 ちょっとうらやましい…。
「早川さんは?」
「さやちゃんは、新体操部で今日は欠席」
 口実じゃなくて、ホントに重なっちゃったんだ。
 他校へ見学に行くんだって。
「だって。
 よかったね、美代ちゃん!」
「きょ、今日は見学だけよ。
 えっちはしたくないんだから…」
 美代ちゃんはほっぺをツンツンされて、ぷうっと破裂しそうなくらいふくれさせた。
 ハァ…さやちゃんもかなり嫌われちゃってるね…。
 やっぱり、ボクが原因なのかな…。
 ため息出ちゃうよ…。
「へ〜。けっこう集まってるじゃない〜」
 体育館を見渡し、市川さんはニッコリ。
「そうなの?」
「うん。初等部にしては多い方よ」
 と。唐突に市川さんは、ボクの喉元を指差した。
「ソレ、なあに?」
 目ざとく見つけられちゃった。
 シャツの襟で隠してたんけどね…。
//	「んと…。孫悟空の輪っか…」
「んと…。さやちゃんのプレゼント…」
 うん。ボクは犬がつけるみたいな、赤い首輪をつけてたんだ。
 冗談じゃないんだもんね…さやちゃん…。
 いやだったけど、お見舞いの時のうしろめたさもあって、断りきれなかったんだ。
「コレしてれば、誰もえっちしないだろうって」
 首輪には『早川鞘子のポチ』って、名前が書かれてて、それを見た市川さんは、プッて吹き出しちゃった。
「ポチぃ〜、お手ぇ〜♪
 うまくできたら、チンチンでちゅよ〜♪」
 もう…。
 市川さんってば、さやちゃんみたいなコトいうんだからぁ…。
 ゴローくんとオヤジくんまでお腹かかえてるよ…。

 ほどなく小田先生が体育館へやってきて、ボクらは部室である、舞台地下に集められた。
 広い体育館に散らばってたせいかな?
 多いように感じなかったけど、こうして見ると、ひとクラス分くらいいるみたい。
 見たかんじ、中学年と高学年の子ばかりみたいだった。
 それで意外なことに、女子の方が多いんだ。
 男子が少ないって、タイヘンそう…。
「みんな、鈴代くんに興味津々なんだよ?」
 くひひって、市川さんがイタズラっぽく笑った。
 もう…。からかってるんだろうけど…。
 そういわれると女子はみんな、ボクの股間を見てるように思えちゃう…。
 うん。ボクって、ちょっとした有名人みたいなんだ。
 体験教室で、おちんぽが大きいって広まっちゃって、初等部の女子で知らない子はいないとか。
 やだよね…もう…。そんなコトで有名なんて…。
「まぁ、そう硬くならずに〜」
 小田先生、相変わらず下品だよ…。
 小田先生はヤラしい目で笑って、コホンと咳払い。
 集まったみんなに、倶楽部の説明を始めた。
「みんな、今日は集まってくれてありがとうね。
 この倶楽部は、“節度あるえっちを学ぶ”ためのクラブ。
 でも、そう難しく考えないでね。
 勉強とか友達のこととか。
 いやなことあったり、誰にもいえない悩みがあったり。
 そんな心が疲れるようなことがあったら、みんなと遊んで、ちょっとだけ忘れてみましょう。
 この体験倶楽部は、そんなクラブなの。
 えっちをしたい子、してみたい子、そうじゃない子も、気軽に集まってね。
 みんなで仲良く楽しく、ドキドキな思い出を作りましょう!」
 先生がそういってニッコリ微笑むと、みんなで「は〜い」って手をあげた。
「それじゃ、自己紹介からしましょうか」
 先生はみんなに体育座りをさせて、ボクらはひとりひとり立って、自己紹介を始めた。
 自己紹介は、ほとんどクラスと名前をいうだけの、簡単なものだった。
 四年生がいちばん多くて、ついで五年生と六年生。
 三年生の子も少しだけいた。
 そうそう。あの、お下げ髪の五年生もいたんだ。
//こよしちゃん
//	 名前は、{{ruby "小町 好美","こまち よしみ"}}さん。
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//--
 生徒会の人なんだって。
 ちょっとびっくり。
 だって、メガネをかけてて、すごく頭がよそさうで、えっちへの興味なんて、全然なさそうなんだもん。
「鈴代くん、鼻の下のびてる…」
 ボソッと美代ちゃん。
「ち、ちがうよ。
 この間、廊下で見かけたから…」
「フンッだ」
 もう…。ツンツン美代ちゃんで、ボクは早くも、心が疲れちゃいそうだよ…。
 そうして自己紹介が終わるころ。
 舞台地下に、ヘトヘトの清太くんが入ってきた。
 小田先生がニッコリ。
「清太、いいトコに来たわねぇ〜」
「マジ?! えっち始めるの?!」
「これから大掃除」
「おお〜そ〜う〜じぃ〜〜?」
 ウンザリ顔で清太くんがいうと、舞台地下は爆笑に包まれた。
 うん。そうなんだ。
 今日は大掃除だけだって。
 それと、模様替え。
 ボクらは小田先生の指揮で、手分けして舞台地下の大掃除をし始めた。
 ロッカーやダンボールを一度外に出して、掃き掃除をするんだ。
 長いこと人の出入りが少なかったから、かなりホコリが溜まってる。
 “ホテル”にしてたときに、少しずつやってたけど、おおっぴらにはできなかったからね。
「なにコレ…すごぉ〜い」
 誰かがダンボールの中から、演劇部の衣装を見つけたみたい。
「ホラホラ、鈴代くん♪ お姫様みたい〜」
 純白のドレスを身に当てて、はしゃぐ市川さん。
 やっぱり女の子の憧れなんだね。お姫様って。
「王子様もあるよ〜」
「すごいね〜。コスプレえっちできちゃうね〜」
//
 お下げ髪の五年生がニッコリしてた。
//	 お下げ髪の小町さんがニッコリしてた。
//--
 お姫様と王子様のコスプレえっち…。
 それも女の子の憧れなのかな…?
「いいわね〜。先生に合うのがないのが残念」
 小田先生はにこやかに微笑んでた。
「これなら大丈夫じゃね?」
 ゴローくんが馬の着ぐるみのを引っ張りだす。
「それにどんなシチュエーションをつけろと…?」
 おもしろくなさそうな小田先生に、ゴローくんはヒヒヒって笑った。
「馬なら、鈴代くんじゃない〜?」
 市川さんがケラケラ笑って、聞いてた子はみんな大笑い。
 もう…ボクのおちんぽのこといってるんだね…。
 ボクは恥ずかしくって、顔から火が出そうだよ。
 でも、美代ちゃんだけは、マジメな顔で掃き掃除してたんだ。真っ赤な顔で恥ずかしがって…。
 って、思ったら、プッて吹き出して笑いだしちゃったよぅ〜。
 もう…真っ赤な顔は、笑うの堪えてただけなんだね…もう…。

 掃除が終わって。
 模様替えもだいたい終わると、ボクらはめいめい座って、おしゃべりをしていた。
 雑然とホコリだらけだった舞台地下は、倶楽部の部室になって、スッキリ様変わり。
 半地下の薄暗い雰囲気も、なんだか明るくなったみたい。
 ロッカーの配置が変わったせいかな?
 ロッカーで仕切りが作られて、そこでえっちをしていいみたい。
 冷たい床のマンマだったけど、あとでお布団を用意するって。小田先生がいってた。
「食べる?」
 市川さん、もう仲良しさんができたみたい。
 知り合ったばかりの子に、お菓子を配ってた。
 掃除しているときに、仲良くなったのかな?
 大掃除の目的って、そんなとこにあったのかもしれないね。
 小田先生って見かけによらず、ちゃんと考えてるんだね。
「鈴代くん、はい。
 美代ちゃんもどう?」
 “マツタケの森”の箱を差し出され、ボクと美代ちゃんはお礼をいって手を延ばした。
「こ〜ら!
 学校にお菓子持ってきちゃ、ダメでしょ?」
 いきなり小田先生に注意されて、ボクはマツタケの森が喉に詰まっちゃうかと思ったよ…。
「先生も食べる〜?」
「いりません」
 市川さんが差し出す箱を、小田先生はキッパリと断った。
「さやちゃんもわたしも、タケノコ派だから〜」
 部室に入ってきたゆり先生が、ニッコリ笑った。
 ゆり先生は副顧問なんだって。
「やっぱり、マツタケよりタケノコよね〜。
 若くてぐんぐん、おっきくなるタケノコ…って、ゆぅりぃ〜」
 おどける小田先生に、みんなクスクス笑った。
「うふふ」
 美代ちゃんもクスクス笑ってる。
 まるで、体験教室の夕食のときみたいだね。
 美代ちゃん、やっぱりかわいいなぁ…。
 広いおデコでいると、まるでお日さまが笑ってるみたい…あれ?
 ボクは、いまさらに気づいた。
 美代ちゃんの髪型。
 いつも前髪で隠してるのに、今は自慢げにおデコを晒してるんだ。
 あの、真ん中から分けた髪型って…。
「先生! 帰る前にシャワーしていい?
 ホコリまみれで気持ち悪い〜!」
 ふいの市川さんの声に、思い出しかけてたことをかき消されちゃった。
「鈴代くんも行こう! 洗ってあげるから!」
「え…」
 返事する間もなく、ボクは市川さんに腕を引っ張られちゃった。
「じゃ、先生も〜」
「さやちゃん先生は、まだやることあるでしょ?」
「ゆぅりぃ〜のいけずぅ〜…」
 小田先生とゆり先生の掛け合いを横に、市川さんは美代ちゃんも誘っていた。
「美代ちゃんもいっしょスル?」
「あたしは…まだ、風邪が残ってるから…」
「そうなんだ」
 市川さんはちょっと残念そうだった。
 ボクもちょっと残念…。
 えっちしたいからじゃなくて、仲直りのキッカケがほしいから。
 友達としてなら…かまわないよね? さやちゃん?

 結局、ボクと市川さんのふたりでシャワーをして、その日は帰った。
 うん。ボクの学校はスポーツに力を入れてるとかで、ちゃんとお湯の出るシャワーがあるんだ。珍しいよね。
 他の子も何人か、ボクたちの真似をしてシャワーしてた。
 う、うん。えっちも、してた…。
 ……うん。…ボクも…市川さんと…一回だけ…。
 さ、さやちゃんには内緒だよ?
 首輪に効力ないって知ったら、ショックでしょ?
 それに、今度は首輪に鎖をつけられちゃうよ…。

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