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はじめての露出


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【@右巻きソフトウエア】 「初・体験教室」 「ま〜めいど★ハンター」 「怖くない怪談」 「ないしょのえろカタログ」

 はじめての露出


 びっくりすると目が点になる、ってよくいうよね?
 うん。そうなんだ。
 今のボクがきっとそう。
 だって、教室から出ようとしたら、裸の女の子が廊下にいるんだもん。
 誰だってびっくりしちゃうよね?

 ボクは今週、掃除当番なんだ。
 それでゴミ捨てをおわって、誰もいない教室に戻った。
 みんなひどいんだよ?
 燃えるゴミと燃えないゴミを、ちゃんと分けないんだ。
 それで分けてたら、使い終わったコンドームが入ってて、困っちゃったよ。もう…。
 アレって、やっぱり燃えないゴミだよね?
 ていうか、触るのがすご〜くイヤだった。
 そんな感じでゴミを分けて、ゴミ箱を戻しに教室へ帰ったんだ。
 案の定、教室にはもう誰もいなくて、校舎内でも居残ってる生徒は少なくなってるみたい。
 ボクは空になったゴミ箱を置くと、ランドセルも背負わずに教室から出ようとした。
 ここのところ、日課になってる“ホテル探し”。
 今日は体験倶楽部もないし、さやちゃんは新体操部に出てるから。その間に学校の中を探すつもりだったんだ。
 うん。夏休みも間近に迫ってるのに、まだ見つからないんだよ。
 ちょっと焦っちゃうよね。
 そしたら教室を出てすぐ、その女の子が廊下にいたんだ。

 服を着てない、全裸の女の子!
 女の子は、すごくびっくりした風だった。
 まん丸な瞳で、ツーテール髪が逆立つみたいに全身が硬直してた。
 ボクもそんな感じ。
 何をどうしていいのか、頭が真っ白だった。
 だって校舎内で、全裸の女の子と突然出くわしたんだもん。誰だってそうなっちゃうよ。
 それはホンの一瞬なんだろうけど、ボクらは長い間、まん丸な目で見つめ合ってる気がした。
 そしたら、男子の声が聞こえたんだ。
 廊下の曲がり角の、向こう側から。こっちにやってくるみたい。
 それは目の前の女の子にも判ったんだと思う。
 まん丸な瞳は怯えきったように一変して、顔色はすっかり真っ青! 身体まで小刻みに震えてた。それはもう可哀相なくらい。
 ボクは咄嗟に女の子の手を引いて、教室の陰に隠れてた。
 だって男子たちに見つかったら、女の子はイジメられちゃうに決まってるもの。
 ボクは全裸の女の子を、隠すように抱きしめた。
 女の子は身を縮めこませて、プルプル、震えてた。
 震えてるのは、ボクも同じ。
 ボクらは両目をギュッと瞑って、話し声が通りすぎるのを、息を殺してひたすら待ち続けた。
 男子たちの話し声は、次第に教室へ近づき、ボクの心臓はすごくドキドキして、壊れちゃいそう…。
 やがて壁向こうの話し声は遠のいて、ほどなく聞こえなくなっていった。
 ボクはホッと肩を落とすと、腕の中の女の子に目を向けた。
 女の子は背中を丸めて怯えたまま、まだボクの胸に顔を埋めてた。
 ツーテールの髪が、まるで怯えたウサギの耳みたい。
 あったかくて柔らかい、裸の女の子。
 さっきとは別の意味でドキドキしちゃう。
「も、もう、大丈夫みたいだよ?」
 声をかけてあげると、女の子はゆっくり顔をあげて、潤んだ瞳をボクに向けてきた。
 涙目が赤くなって、ウサギさんみたい。
 けっこうかわいい…。
 うん、そうだね。
 おちんぽがピョコンしちゃった…。
「あ、ありがとう…」
 女の子がか細くいうと、ボクは顔が真っ赤になるのを感じて、目を反らしちゃった。
「ど、どうしたの?
 イジメられてるの?」
 いくら暑いからって、全裸で廊下にいるなんて、フツーじゃないよね?
 なんかの罰ゲームにしても、やりすぎだよ。
 でも意外なことに、女の子は首を横に振ったんだ。
「ううん…」
 ボクは目をパチクリ。
 イジメじゃなければなんなんだろ?
 それとも、イジメに気づいてないのかな…?
 うん、そうだね。
 ボクもちょっと前までそうだったから、なんとなくわかるんだ。
 仲間外れがイヤで、“罰ゲーム”とかいわれて、イヤなのにやらされちゃうんだ。
 でも当人は“タチのわるい悪ふざけ”って思い込んで、イジメと気づかなかったりするんだ。
「そうじゃなくて…イジメじゃなくて……」
 女の子は理由を話そうか、迷ってるみたい。
「誰にも、いわない?」
 上目遣いを向けられて、ボクはドキドキしながら頷いた。
「う、うん。誰にもいわないよ」
「お父さんにもいっちゃダメよ? お母さんにも、先生にも…。
 タマにもよ?」
 タマって猫のことかな?
 ウチには猫も犬もいないけど…それくらい重要な、最高機密ってことだよね。
「うん。ポチにもいわない。
 さやちゃんにも、美代ちゃんにも、市川さんにも」
 市川さんには特にね。それこそ学校中に広まっちゃうモン。
「指切りする?」
 ボクが小指を差し出すと、女の子はおそるおそる、かわいらしい小指を絡めてきた。
 あったかい。
 うん。そうだね、不思議だね。
 ちょっと小指を絡めただけなのに、女の子の安堵が伝わってくるみたい。
「あのね…」
 女の子は照れたみたいに頬を染めると、おずおずと口を開いた。
「体験教室でね…その…。
 クセになっちゃったの」

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