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えっち 06eの変更点

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!!!はじめての鬼ごっこ 5

 その日の放課後、ボクはさやちゃんを探してた。
 正確には、休み時間も昼休みも、放課後も。
 でも教室にも、いつも落ち合う図書室にもいないし、校内を探し回ってもいないんだ。
 やっぱり、怒って帰っちゃったのかな…。
 うん。そうなんだ。
 プールでのコト。きっと怒ってるよね?
 だから、謝ろうと思って。
 さやちゃんの大好きなポッチーも、ちゃんと用意したんだよ?
 これでご機嫌、直してくれるといいんだけど。
 じゃないと次のプール授業、フルチンで出席になっちゃう。
 うん。海水パンツ、まだ返してもらってないんだ…。

//	下駄箱?
 結局、さやちゃんは見つからずじまい。
 ボクはため息をついて、オレンジ色に染まった下駄箱で、靴を履き替えてた。
 さやちゃんには、後で電話してみよう…。
 校庭に出ると、傾いた夕日がとても眩しかった。
 ボクは手をかざして日差しを遮ると、不思議なものを見つけたんだ。
 プールのフェンスに、人影と海水パンツの影。
 ボクは走って校庭を横切り、まっすぐにプールへ向かった。
 入り口の柵には鍵がかかってて、そこからは入れなかった。
 ボクはランドセルをしょったまま、側の木からフェンスに飛びつき、その高いフェンスをよじ登り、乗り越え、ようやくプールサイドへ飛び下りた。
//プール・サイド
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//--
 たぷん、たぷん…。
 オレンジ色の水面が、静かに囁く。
 さやちゃんはフェンスにへばりつくようにして、校庭を見つめたまま、こっちにオレンジ色の背中を向けてた。
 さやちゃん、水着のマンマだった。
「ハジメのこと、待ってたんだからね…」
 もしかして、プールの授業から、ずっと…?
「他の子を押し退けて、あたしを捕まえてくれると思ってた…。
 誰よりも真っ先に、捕まえてくれると信じてた…」
 “待ってた”って、鬼ごっこのことか。
 そっか…。さやちゃん、ボクに捕まえて欲しかったんだ…。
 お姫様を助け出す王子様。
 チビでモヤシのボクには、似合わない役柄だけど。
 でもさやちゃんは、そんなのを期待してたんだ。
 それなのにボクったら、他のことに気を取られて…。
 なんでボクってこうなんだろ…。
 いまさっきだって、さやちゃんがプールサイドにいそうなこと、気づいてもいいのに…。
「ごめんね…」
「オニが捕まえられるなんて、…マヌケもいいところよ……」
 泣いてるのかな…。
 さやちゃんの肩、小刻みに震えてた。
「ボ、ボク、次はがんばるよ。
 泳げるようにもなってみせるよ!」
 だから、泣かないで…。
 って、いおうとしたら、ボクの顔に海水パンツが投げつけられた。
「よくいったわ!
 その言葉、覚えてなさいよっ?!
 泳げるようになるまで、あたしが扱き倒してあげるんだからっ!」
 さやちゃん、ニカッと満面の笑みで笑ってた。
//	ニカッとさやちゃん
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//--
 ボクはなんとも、キツネにツマまれた気分で、顔の海水パンツを受け止めてた。
 フェンスで干されてた海水パンツは、パリパリに乾いていて、塩素のニオイがまったくしてなかった。
 ちゃんと洗ってくれたんだ…さやちゃん…。
 うん。そうだね。
 ヘンだよね、ボク。
 さやちゃんに海水パンツを洗ってもらって、それがなんか、とってもうれしいんだ。
//
 下着同然のものなのに。フツーなら恥ずかしく思うのにね!
//--
「ポッチー、食べる?」
 ボクはさやちゃんの隣に腰掛けると、ランドセルからポッチーを取り出した。
「なに味?」
「ほろにがビター味」
 小袋を開けてあげると、さやちゃんは一本とって、ポキンと食べた。
「おいしい?」
「まぁ、まぁ、ね」
 ボクも一本とって、ポキンと食べた。
 夕日を見つめながら、ふたりでポリポリ。
 ほろにがビター味は、そんなに苦く感じなかった。
「市川さん、どうだった…?」
 さやちゃんに聞かれて、ボクはなんとも返事がしづらい。
「う、うん…」
「ナニが、うん、なのよ?
 気持ちヨカったの? どうなの?」
「う、うん…ょ、ょかった…よ…?」
 さやちゃんは大げさなため息をついた。
「オトコって、そんなモンよね〜」
 ポッチーをポキン!
 ボクはおちんぽを折られた気分…。
「で、でも、さやちゃんとの方が、気持ちヨカッたよ?」
「白々しい〜」
 あぅ…。
 「じゃ、これからヤリくらべてみようよ」なんていったら、ヤブヘビだよね…。
 おちんぽもショボンだよ。
「ま。捕まえきれなかったあたしもわるいんだし。
 今度から首輪と鎖をつけることにするわ」
「それじゃ、まるっきり犬だね」
 苦笑いでそういったら、さやちゃんは目を丸くした。
「忘れたの? アンタ、あたしのポチ子じゃない。
 “ハジメ!”っていわれたら、一所懸命、腰を振るのよ?」
 もう…アレ、冗談じゃないんだもんね…。
 ボクもいつのまにか、ソの気になっちゃうんだけどサ…。
「で? ちゃんと、イカせてあげた?」
「たぶん…。
 気持ち…ヨカッたって…」
「フンッ!」
 さやちゃんは勝ち誇ったみたいに、鼻息を飛ばした。
「あったり前じゃない!
 あたしの“ハジメ”なんだから!」
 ボクは目をパチクリ。
「怒られると思ったよ…」
「怒ってるわよ」
 コツンって、ボクの頭にゲンコツをのせた。
「でも、市川さんをイカせてあげなかったら、もっと怒ってたわ。
 こんな程度で早川 鞘子はイッちゃうの〜?
 なぁ〜んて、アンタが莫迦にされたら、クツジョクだもの」
 うん。それはわかるよね。
 ボクも大好きな人が莫迦にされたら悔しいもの。
 ……大好きな人?
「んと、ボクが莫迦にされると、悔しいの…?」
 聞き直したら、さやちゃん、顔が真っ赤になっちゃった。
「ス、スルならイカせて、あたしを羨ましがるくらいヤりなさい、ってコトよ!
 な、なによ…ニヤニヤして…」
 そりゃ、ニヤニヤしちゃうよ。
 だって、ボクがさやちゃんを慌てさせるなんて、珍しいことだもん。
//	「んとね。
「あのね。
//--
 プールで、清太くんたちが水着審査してたんだ」
「ナニそれ? ホントにガキね!」
「さやちゃん、平均69点だったよ?」
 さやちゃん、ムッと鼻に皺寄せちゃった。
「それって、高いの? 低いの?」
「どうだったかな…」
 ボクはわざとしらばっくれた。
「ボクも点数を聞かれたんだけど…知りたい?」
「……」
 さやちゃん、押し黙っちゃった。
 聞くか聞くまいか、迷ってるみたい。
「…お……興味ないわ! くっだらないっ!!」
 ボクはとっても可笑しくなっちゃった。
//
「なによ」
「さやちゃん、やっぱり一番かわいいよ!
 百点満点つけて正解だったね!!」
 さやちゃんはおもしろくなさそうに、顔を背けてポッチーをポキン!
「……ばか」
 呟いたさやちゃんの耳は、真っ赤だった。
//プール・サイド
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//--

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