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!!!はじめての生徒指導室
ボクとさやちゃんは、生徒指導室っていうところに連れて行かれた。
北側の狭い一室に、机がひとつ。資料の入ったロッカーと、折り畳み椅子が壁際に並んでた。
なんの部屋なんだろ? ボクははじめて入ったよ。
「取調室よ」
キョロキョロしてたら、隣に座ってるさやちゃんが、不機嫌そうに呟いた。
「取調室…?」
刑事ドラマのワン・シーンが思い浮かんだ。
つまり、小田先生が刑事さんよろしく、ボクらは延々、お小言を聞かされるんだね。
でも、お小言だけですむのかな…。
だって、授業を抜け出してえっちしてたんだよ? ものすごい重罪だよね…。
はぁ…。つくづく、ため息出ちゃうよ…。
サボるなんてはじめてだったのに、見つかっちゃうなんて、ホント、ボクって運がないよね…。
初犯ってことで、許してくれないかな…?
せめて見つかったのが、ゆり先生だったらよかったのに…。
わるいのは自分なのはわかるけど…ハァ…。
暗い気持ちでいたら、小田先生が生徒指導室に戻ってきた。
//
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//--
小田先生は、汚されたスーツを着替えて、いつものジャージ姿。
無言でボクらの向かいに座ると、怒った顔で腕を組んだ。
Tシャツが少し透けてて、ピンク色のブラがうっすら見えた。
ボクはズボンが苦しくなっちゃって、思わず俯いちゃった…。
お化粧も落として、スッピンみたいだった。
いつもの小田先生っぽい。
先生は無言でボクらの向かいに座ると、怒った顔で腕を組んだ。
ボクはズボンが苦しくなって、思わず俯いちゃった。
うん。Tシャツが少し透けてて、ピンク色のブラがうっすら見えちゃってたんだ…。
「さて。ふたりは授業中に、あそこでナニをしていたのかしら?」
小田先生は静かな口調だったけど、ボクは何もいえなくて、ションボリうなだれた。
「先生こそ、授業中になにしてたんですか〜?」
さやちゃんがいうと、小田先生は目をパチクリ。
「いまは図工の時間だもの。
そうよね? 早川さん?」
図工の時間は、担任の先生じゃなく、美術の立花先生の受け持ち。
そしてさやちゃんの担任は、小田先生。
空いた時間に小田先生は、校内の見回りをしていたんだろうね。きっと。
//「……はい」
// 切り返されたさやちゃんは、しぶしぶ、返事をした。
「……」
// 切り返されたさやちゃんは、返事の代わりに、プゥっとほっぺたを膨らませた。
切り返されたさやちゃんは、返事の代わりに口を尖らせ、鼻に皺を寄せた。
//--
「鈴代は? 何の時間?」
「音楽です…」
うん。音楽も、担任の先生じゃないんだ。
教室も音楽室に移動。
席は決まってないから、その時ごとに、親しい子同士で座ったりするんだ。
ボクは特にそういう子もいないから、一番後ろの端っこの、余った席に座ってた。
それで出席をとり終わってすぐに、さやちゃんが扉のスキマから、ボクを呼んできたんだ。
いけないことだとは思ったんだけど……誘われるまま、こっそり抜け出しちゃった。
でも、さやちゃんのせいにするつもりはないよ?
清太くんたちからサボッた時の話しを聞いて、ボクもやってみたくなっちゃったんだ。
だってボクだけ、そういう話しができないんだもの。
きっとさやちゃん、そんなボクに同情してくれたんだと思う。
// ついこの間まで、ボクがひとりぼっちだったこと、よく知ってるから…。
ついこの間まで、ボクに友達がいなかったこと、知ってるから…。
//--
だから一回だけなら…って、ボクはそう思っちゃったんだ。
「で、サボッてえっちしていた、と」
「……」
「……」
ボクもさやちゃんも、なにもいえなかった。
「まぁ、ふたりが仲良くしたいのはわかるわ。
先生にも、そういう時期はあったもの。
でも、試しにやってみるとか、そんな年じゃないわよね?
やろうとしてることの結果を、考えるようにしなきゃ」
「ちゃんと気をつけてるもの」
仏頂面のまま、さやちゃんがいった。
「節度を考えなさい、そういってるのよ?
ホラ、鈴代の目を見てみなさい。
// かわいそうに…疲れてクマができてるじゃない」
疲れが抜けずに、クマができてるじゃない。かわいそうに…」
//--
「先生がストーカーしてるから、よく眠れないだけよ」
さやちゃんがいうと、さすがに小田先生もムッとしちゃった。
「鈴代の成績が落ちてるって、緑川先生から聞いてるわよ?
早川さんもそうね。
この間の漢字テスト、ひどかったわよ」
「でも、算数のテストはよかったわ。
ハジメと教えあったから。
ね? ハジメ?」
「う、うん…」
思わず頷いちゃったけど、大丈夫かなぁ…。
小田先生、かなり怒ってるっぽいよ?
「そういう問題じゃないでしょ。
もうすぐ高学年なのに…。
やっていいことと、わるいことの区別をつけなさいって、いってるの」
「あたしのポッチー食べたクセに…」
ああいえばこういう。
屁理屈なのはわかるけど、さやちゃんを改めて見直しちゃった。
うん。そうだよね。
ボクだったらなにもいえず、ションボリ謝るしかないもの。
やっぱり、さやちゃんはスゴイや。
「早川さん。あなたの言い分はよくわかったわ」
小田先生は、呆れたようにため息をついてた。
// 「でもまず、いうべき言葉があるわよね?」
「でも、自分が正しいと思うなら、まず、いうべき言葉があるわよね?」
//--
えと。なんだろ…?
ボクは思いつかなくて、さやちゃんを見ちゃってた。
「授業をサボッてわるかったです。
ごめんなさい」
さやちゃんがそういうと、ボクも慌てて謝った。
「ご、ごめんなさい…」
小田先生は、また大きなため息をついた。
「よろしい。
ちゃんと反省しなさいよ?」
小田先生はニコリともしなかったけど、ひとまず溜飲は下がったみたい。
「は〜い」ってさやちゃんの返事を聞くと、先生は怒らせてた肩を下げた。
それを見て、ボクもホッとひと安心。
うん。そうだね。
もっと厳しく怒られると思ったもの。
いつもみたいに、「校庭十周!」とかね。
「ところでふたりとも、えっちするの大好きよね?
サボッて、スルくらいだもの」
打って変わってニッコリ、小田先生は机に頬杖をついた。
まぁ、キライじゃないよね…えっちするのは。
「でね。先生、思うのよ。
ふたりとも、体験倶楽部に入らないかって」
ボクとさやちゃんは目を見合わせちゃった。
「体験くらぶ?!」
そんな部活動、あったっけ?
ボクは首を傾げ、さやちゃんは訝しげな目を先生に向けた。
「それって、体験教室とどうちがうんですか〜?」
ていうか、マンマな名前だよね…。
「さすが早川さんね。
話しが早くて、先生、助かるわ〜」
褒められたさやちゃんは、なんだか微妙な顔をしてた。
「ほら、体験教室に参加できなかった子って、いるでしょ?
そういう子ほど、無茶する傾向があるのよ」
ふーん。そうなんだ。
「あなたたちみたいに、暴走しちゃう子もいるしね」
あぅ…。
「それでね。えっちしたい子が、気軽に集まれる場所を作ろうと思ったの」
コホンと、先生は咳払いをした。
「正式には、“ドキドキわくわくを発見して、上手なセックスを体験する倶楽部”ね。
節度あるえっちを学ぶのが目的だけど。
他にもいろんな、ドキドキ、ワクワクなことを、初等部の純真な目で見つけ出すの。
きっとオトナになったら、いい思い出になると思うわ〜〜〜〜♪」
小田先生は瞳をキラキラ、星のように輝かせ、ボクとさやちゃんは、薄らさむい予感でゲンナリ…。
うん。そうだよね…。
絶対、思い出したくないものばかりになりそうな気がするよ…。
だって体験教室でも、恥ずかしいことがイッパイだったもん…。
「どうかしら?」
// 小田先生は、キラキラ、星の瞳を向けてきた。
どうって…先生…。
えっちするクラブって、クラブ活動っていうのかな…?
ていうか、わざわざクラブに入らなくても、えっちはできるし…。
「SOS団の方がしっくりくるんじゃない?」
さやちゃんは椅子の背に肘をのせて、頬杖をついてた。「まったく興味ナシっ!」っていいたげ。
「SOS団?」
「セックスを、おもいっきり楽しむ、さやちゃん先生による、団体」
// くすっ。たしかにそうだね。
くすっ。たしかにそんな感じだね。
//--
ちなみに小田先生の名前は、“さやか”っていうんだ。だからアダ名が“さやちゃん先生”。
「つまるところ。
さやちゃん先生が、えっちしたいだけでしょ?
なんで、あたしたちが入部しなきゃいけないんですか〜?」
「優等生のふたりが入ってくれれば、他の子たちも興味をもってくれるでしょ?
早川さんは面倒見いいし。
鈴代は女子の間で、いま一番の注目株だしね」
そういって小田先生は、ボクにウィンクをした。
なんか、顔が火照っちゃった。
「先生が狙ってるだけじゃない…」
さやちゃんがブスッと呟き、小田先生はニッコリ。
「なにかいった? 早川さん?」
さやちゃんは椅子に座り直し、背筋をピンっと延ばした。
// 「あたし、もう新体操部に入ってます。
// 掛け持ちなんて、できません」
「あたし、もう新体操部に入ってます」
「あらあら。そうだったわね…。
掛け持ちじゃ、タイヘンよねぇ…」
「ですよね〜」
「どっちも、がんばってね!」
「だ〜か〜ら〜!
ムリですってっ!!」
「じゃ、鈴代だけでもいいわ」
「ちょっ――!」
「鈴代、クラブに入ってないでしょ〜?」
小田先生は机に身を乗り出すと、ボクの顔を覗き込んだ。
「タマには他の女の子と、シてみたいわよね〜?」
// Tシャツの襟首から、おっぱいの谷間とピンク色の下着のレースが目に入って、ボクのおちんぽはコッソリ、ピョコンしちゃった。
Tシャツの襟首から、おっぱいの谷間とピンク色の下着が目に入って、ボクのおちんぽはコッソリ、ピョコンしちゃった。
//--
「え、えっとぉ…」
返事と目のやり場に困って、ボクはモジモジ…。
そしたら、さやちゃんがピシャリといったんだ。
// 「フザけないでください!
// ハジメはあたしと付き合ってるんです!!」
「ハジメはあたし以外とえっちしません。
あたしと付き合ってるんです!!」
// さやちゃんがピシャリというと、ボクは思わず聞き返しちゃった。
// さやちゃんがピシャリといって、ボクは思わず、さやちゃんの顔を見ちゃった。
ボクは思わず、さやちゃんの顔を見ちゃった。
//--
「え? そうなの?」
「そうでしょ?!」
「う、うん、そうだよね…」
グッとさやちゃんに睨み付けられ、ボクは背を丸めてちっちゃくなっちゃった。
でも傍目とちがって、ボクはうれしさでいっぱい。
だって、「付き合ってる」って、さやちゃんがいってくれたの、はじめてだもん。
ボクは頬が緩んじゃう気がして、それを隠そうと俯いちゃったんだ。
「まぁ、まぁ、痴話ゲンカはあとにして〜」
「痴話ゲンカなんてしてないですっ!」
小田先生がからかって、さやちゃんがなんかムキになってて。
ボクはなんか、じ〜んとして、「付き合ってる」って言葉を心の中で反芻しちゃってた。
そしたら話しは、ふいに終わりになってたみたい。
「入部するかどうか、ちょっと考えててくれる?
先生、その間に報告書、書いちゃうから」
って、小田先生がいってきたんだ。
「報告書…?」
// 目をパチクリして顔をあげると、小田先生は白い紙にボールペンを立ててた。
顔をあげると、小田先生は白い紙にボールペンを立ててた。
「この時間、生徒指導室でふたりになにをしていたのか。
報告するのは、先生の義務だもの」
さやちゃんが再び、険しい目で小田先生を睨んだ。
「なんて報告するの?」
「なんて報告したらいいかしら?」
先生は紙から目を放し、ボクらを見た。
「サボッたふたりに、教育指導をした。
って、正直に書いた方がいい?」
そしたら、どうなるんだろ…。
停学とかに、なっちゃうのかな…。
「先生としては、ふたりに倶楽部創設の相談してた、ってことにしたいんだけど。
「先生としては、ふたりから倶楽部創設の相談を受けてた、ってことにしたいんだけど。
どう思う?」
それって…。
「先生、ズルイ!!」
大きな声をあげて、さやちゃんが立ち上がった。
「サボッてたって報告されたくなきゃ、倶楽部に入れってコトでしょ?!
それって、脅しじゃないっ!
やり方がきたないわっ!!」
真っ赤な顔のさやちゃんに、小田先生はニッコリ。
「あら。サボッてたのは事実でしょ?
先生がそれを発見したのも、事実。
黙っててあげようと思うのは、わたし“個人”の思いやりよ?」
そういうと小田先生は、ボクにその笑顔を向けてきたんだ。
// 「ねぇ? 鈴代は、どう思う?」
「さて。返事を聞かせてくれる?」
//--
// 「これだから、オトナって信用ならないのよ」
「これだから、オトナって信用ならないのよ…。
聖職者のクセして…信じらんない…!」
//--
さやちゃんはプンスカ、廊下を早足で歩いてた。
並んで歩くボクは、追いつくのもタイヘン。
// 「あたしのポッチー食べたクセに…。
// ごちそうさまもナシなんて、信じられないわっ!」
「あたしのポッチー食べたクセに…ごちそうさまもナシなんて!
日本の教育は腐ってるわっ!!」
あはは。怒るトコはソコなんだ。
「体験倶楽部なんて、ダレが出てやるモンですかっ!
アンタも出ちゃダメよ?!」
うん。そうなんだ。
結局、ボクらは入部することになっちゃったんだ。
うん。そんなに嫌がることじゃないかもしれないけど…。
さやちゃんは、強制されることが大っキライでしょ?
ボクは人見知りが激しいから…知らない子たちに混じるなんて、とっても不安…。
それに二人とも、なんかワナにはめられたみたいで、すごく後味がわるかったんだ。
「でも…。
倶楽部に出なかったら、サボッたことを報告されて、停学になっちゃうかも…」
ピタッと、さやちゃんの足が止まった。
「他の子とシても、小田先生とは、えっちしちゃダメよっ!
いい? ゼッタイっ! ゼッタイだからねっ?!」
そうボクにいうと、さやちゃんは勢いよく、女子トイレのドアを開けた。
バタンッ!
って、ドアが閉まって、ついで中から…。
「こんなトコでえっちしてんじゃないわよっ!! 変態発情猫!!」
って、さやちゃんの怒鳴り声が聞こえた。
ホッと、ボクは胸を撫で下ろしちゃった。
うん。そうだね。
いつもながら、さやちゃんの癇癪ってスゴイよね。
ボクがターゲットじゃなくてよかったよ。
それにしても…。
みんなになんて話そう…?
ボクは知らず、ため息をついてた。
うん。実は事態は、ボクらふたりだけで済まなかったんだ。
それは“ホテル”のこと。
体験倶楽部の活動場所、体育館の舞台地下なんだって。
みんなの“ホテル”を、取り上げられちゃったんだ。
はぁ…ため息でちゃうよ…。
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