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マーメイド03-7




【@右巻きソフトウエア】 「初・体験教室」 「初・体験倶楽部」 「怖くない怪談」 「ないしょのえろカタログ」

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ピアスの告白


■ハンス(仮名)は繋がりを解くと、驚きにみまわれた。

 ピアスの太股へこぼれ出た白濁に、ピンク色のものが混じっていたからである。
 激しくしすぎて、膣壁を傷つけてしまったのだろうか…。
 もうひとつの可能性もあるが…いや、まさか…ピアスがそんな……。
 問いかけの目を向けると、ピアスは顔を背けたまま答えた。

「初めてよ、もちろん。
 いけない?」
 やはり、破瓜の血であったか…。
 そうと知っていれば、あんなに乱暴にはシなかったろうに…。
 ハンス(仮名)は少しばかり、申し訳なく思った。
「いけなくは、ないけど……。
 ボクから紋章を取ろうなんて、よく思ったね」
 ピアスは半身を起こすと、膝を崩したままで、ハンス(仮名)に向かい合った。
「取れるなんて、思ってないわよ、もちろん。
 だって、名前覚えたなんて、ウソだもの」
 シレッというピアスに、ハンス(仮名)は目が眩んだように思えた。
「え? 今、なんていったの?」
「ウソだっていったの!
 あんな長ったらしい名前、あたしが覚えられるわけないじゃない」
「じゃ、なんで…」
「そうでもいわなきゃ、あんた、こんなことシてくれないでしょ?
 ていうか、それでもシてくれる気、なかったでしょ?」
「うん…まぁ……」
「だから、“うつぼ=かずら”のお芝居までしたのよ」
「へ? え? お芝居?!」
「そ。痺れ毒なんて大ウソ!
 あんたはマンマとダマされたのっ!」
 ポカンと口を開けるしかない。
「うふふ〜。迫真の演技だったでしょ〜?
 でも、催淫剤だけはホント。
 じゃなきゃ恥ずかしくて、人前でオナニーなんてできないわ」
 ピアスはニコニコしながら、ハンス(仮名)のほっぺたをチョンっとつっついた。
「じゃ、じゃ、あの小瓶は?
 このラベルは?」
 例の小瓶を手にして見ると、ラベルは「毒消し」となっていた。
 そう。戸棚から取り出した時と同じである。
 ピアスはキツネにツマまれたようなハンス(仮名)から、小瓶を摘まみ取った。
 そしてイタズラっぽい目で、両の手の平に包んでから、小瓶のラベルをハンス(仮名)に見せた。
 それは再び、「催淫剤」に変わっていた。
「うふふ! おもしろいでしょ?
 手で温めると「催淫剤」にラベルが変わるの。
 戸棚にあったのは、どっちも催淫剤ってワケ」
 “してやったり”と微笑む彼女に、ハンス(仮名)はクラクラした。
 かわいらしい女狐に、怒る気さえしない。
「でも、あんなに苦しいとは、さすがに計算外だったわ。
 あんたってば、なかなかシてくれないんだもの。
 用意した合い鍵も使わないし……。
 こ〜んな美女が、恥ずかしいコトして見せて、必死に誘ってるのにサ。
 もーほー趣味か、インポなのか…ホンキで心配しちゃったわよ?」
「それと、悶え死ぬんじゃないかって?」
「ま〜ね〜」
 ピアスは溜め息をひとつついた。
「あたしより、あの猫の方が魅力ある?
 やっぱり、姫さまの方がいいの?」
 ハンス(仮名)はなんとも返事に詰まった。
 ニーヤのことを笑っていいものか、正直に胸の内を明かしたものか…。
 そんな正直なハンス(仮名)を見て、ピアスはクスリとした。
「ウソつき呼ばわりしたのは謝るわ。ゴメン。
 でも、“抱いて”なんてかわいらしい台詞、あたしに似合うと思う?」
「“ちんぽ勃てろ”って、のしかかる方が似合ってるね」
 ピアスのそういう場面を想像して、ハンス(仮名)はクスリとした。
「論外。
 それじゃ、男どもがやってることと、変わんないじゃない」
 ツンと、ピアスはハンス(仮名)の胸に指を立てた。
 そこには、委譲されたばかりの紋章があった。
「最初はホントに、奪い取るつもりだったのよ。
 でも……、なんか、そんなのどうでもよくなっちゃったわ。
 なんでだろ…」
 紋章の下の乳首を、ほっそりした指先が撫で転がす。
 いじらしく、切なげな愛撫。
 ハンス(仮名)は吐息とも溜め息ともつかないものを漏らした。
 ピアスが少女のように口を尖らす。
「たまにはご飯、食べにきてよね…」
 ハンス(仮名)は自然と頷いていた。
「うん。
 だけど、……今度は毒ヌキだよ?」
「大丈夫。
 シたくなったら、あんたの料理に混ぜるから」


■外へ出ると、憮然とした飛び猫が待っていた。

「鍵、返すよ。……ごめん」
 ハンス(仮名)が合い鍵を出しても、飛び猫・ニーヤはそれを受け取らなかった。
「でもわかってよ。
 これは、ボクのプライドがかかってたんだ」
「そんなの、どうだっていいじゃないの!!」
 小さな体いっぱいに張り上げた声。
 ニーヤの怒りはわからないでもない。
「ボクは、“姫さまの好きな人はウソつきだ”なんて人にいわれたくないんだ」
「姫さまはアンタのことなんか、なんとも思ってないわよ」
「それでもいいよ。
 ボクは、好きな人には正直でいたい。
 好きな人に、ウソつきだなんていわれたくない。
 だから戸棚の合い鍵でなく、ニーヤの鍵が必要だったんだ」
 そういわれてニーヤは、少しトーンを下げた。
「いいじゃないのさ。
 ウソつきよばわりされたって…。
 ひ、姫さまだって、怒んないわよ」
「そんなことしたら、今までのことだって、これからのことだって、みんなウソになっちゃうよ。
 それじゃ、信じてくれた人たちがかわいそうだよ」
「……聞いてたわよ。
 あの女のウソだったんでしょ?」
 バツわるげに、ハンス(仮名)は頬を掻いた。
「ならなんでそういわないの?
 あんな淫乱尻軽女、庇うことないじゃない!」
「いいすぎだよ。
 ピアス、はじめてだっもの」
 これにはニーヤも目を丸くした。
 このことは知らなかったらしい。
「それに庇うつもりはないけど、責める気にはなれないよ」
 ニーヤは再び、眉を険しくした。
「だから、自分の胸の中にしまっておくの?
 そうやって、なんでもかんでもしょいこむつもり?
 ゴミ箱みたいに、汚いものでもなんでも飲み込んじゃうつもりなの?」
「ボクは脳天気な極楽トンボだから、なにいわれても気にしないよ」
「またウソつく。
 ウソつきって言われると怒るくせに。
 あたしはパートナーなのよ?!
 グチのひとつぐらい、コボしてくれたって、いいんじゃないの?!」
「……うん。
 こんどから、そうする」
「わ、わかればいいのよ、わかれば。
 …あたしも、ハンス(仮名)を追いつめるようなこと、いったし……」
 ニーヤはニーヤで、後悔をしていたらしい。
 きっと尻すぼみの言葉は、ニーヤなりの謝罪なのだろう。
 ハンス(仮名)は翼のある猫が、急に愛おしくなり、そっとその小さな頭を撫でた。
「て」
 ニーヤは、ポツリとそれだけ。
「テ?」
「手、見せなさいよ。
 薬ぐらい、塗ったげるから…」
 ニーヤが作った、引っ掻き傷のことをいってるのだろう。
 ハンス(仮名)が素直に手を差し出すと、ニーヤは耳を垂れてそこにある傷を舐めた。
 瞬間、自分の行為に、ニーヤはハッと赤くなった。
 反射的にしろ、相手の傷を舐めるなど、キスにも等しい行為である。
「くふふっ。
 催淫剤はやめてよね?」
 ニタニタ意地悪く笑うと、その顔に、げしッと飛び猫の蹴りが炸裂した。
「なんでアンタはいつもそうなのヨッ!」

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