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萌え小説 12.8

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はじめての対決・後編


「ク、クソォ〜〜〜〜ッ!!」
 って、物凄い悔しそうな怒声で、ボクは気を取り戻した。
 床には白い水滴みたいのが、ちょっとした溜まりを作ってた。
 ボクのかな?
 よく飛んだなぁ〜、なんて思って、タイルの直線を辿ったら…。
 息を荒らげたブータが、真っ赤な顔で、早川さんを睨んでた。
「ズ、ズルイぞぉ〜!
 森山の方が、ウ、ウマイの知ってて…」
「だったら、なんでさっきいわなかったの?」
 ペロッと、早川さんは指についてる自分のお汁を舐めた。
「うっ」
「それに、気持ちヨカったんでしょ?
 ならいいじゃないっ!」
 ニッコリ、太陽みたいな笑顔。
 ブータはもう口をパクパクさせるだけで、涙がジンワリ溜まってた。
「う〜…森山ぁ〜…」
 ブータは涙目の情けない顔を森山さんに向けた。
 森山さんはそんなブータに、ニッコリ、微笑む。
「うん。シよ?」
 と。森山さんはブータの肩を撫でなで、食堂から連れ出していった。
 ん〜。なんだかわからないけど、勝ったみたいだね…。
 どーでもいーことだけど。
 うん。そうなんだ。
 ボクはもう、勝負なんてどーでもよくて、身を寄せてる美代ちゃんのことだけしか頭になかったんだ。
 美代ちゃんは潤んだ瞳で、ひたすらボクを見つめてて、またボクのおちんぽを摩ってくれてた。
 “生殺し”と“待った”の苦しさも、だんだんに癒えてきていて…ていうか、ヤル気を回復してきて、早く美代ちゃんと繋がりたかった。
 たぶん、美代ちゃんもそう。
 だから自然と、ふたりで唇を近づけてた。
「鈴代くん、シよ」
 燐とした声が、ボクと美代ちゃんの間に割り込んだ。
 穏やかだけど、冷たい目。
 早川さんが、美代ちゃんを見つめてた。
 ボクはなんとなく、猫が威嚇する時の目を思い出してた。
「あ、あたし……」
 美代ちゃんの口から、続く言葉が消えた。
 そして、なんだか腰が抜けたみたいな感じで、食堂から出ていった。
「美代ちゃん…っ…!」
 ボクはすぐに美代ちゃんを追おうとした。
 けれど、両手は後ろ手に縛られてるし、股間は限界までおっきくなってるし――。
 なにより早川さんの言葉が、ボクの足を止めさせた。
「ぷふっ。両手に花ね。
 負けた方がよかったみたい」
「…………」
 ボクは憮然と、早川さんの方に向いた。
 食堂の中は、どこもかしこも、えっちしている子ばかりだった。
 たぶん、ボクとブータの勝負にアテられちゃったんだろうね…。
 ボクたちを誰ひとりと気にせず、夢中でえっちに没頭してるみたいだった。
 そしてその中心のテーブルに、早川さんは腰掛けたまま、自分の性器をイジくるともなしに、イジっていた。
「鈴代くん、スゴイのね…。
 美代ちゃん、イッちゃって、腰抜けてたわよ?」
 なにがおもしろいのか、早川さんはニコッとした。
「おちんぽ摩って、愛撫してただけなのにね」
 人懐っこい笑顔は、厭味にしか見えない。
「ウフフ。この穴、鈴代くんのモノね…。
 ねぇ、早く入れて?」
 指で割れ目を拡げられたおまんこは、ぽっかり、中への入り口まで開けてた…。
 イキリ勃ったままのボクのおちんぽは、入りたがってウズウズしてる…。
 だけど、おちんぽばかりじゃない。
 ボク自身、ゴクンと喉を鳴らしちゃってた。
「い、いいよ。えっちシない…」
 そりゃ、えっちしたい衝動は強かったけど…。
 最初から最後まで早川さんに振り回されて…。ボクはひとつぐらい、なにか仕返しがしたかった。
「鈴代くん、勝ったんだよ?
 あたしとシたくて、がんばったんでしょ?」
「も、もともと、ボクの勝負じゃないもの。
 勝ったのは、…早川さんだよ」
「じゃ、あたしに賞品ちょうだいよ」
 早川さん、ちょっとムッとしたみたい。
 鼻に皺をよせて、口を尖らせてる。
 そんな顔もかわいいと思うけど…じゃなくて、ゴマかれないけどっ!
「ボ、ボクはモノじゃないもの。
 “賞品”だなんてヤダよっ!」
 つい強い口調でいったら、ボクのエンジンがかかっちゃった。
「それに、さんざん楽しんだでしょ?
 ブータやボクや美代ちゃんや森山さんや…。
 みんなをその手の平で転がしてっ!」
「……ぷっ!」
 ボクは本気で怒ったのに、早川さんは吹き出して、大きな声で笑いだした。
「アハハッ! なにソレっ?!
 全部、あたしのせい?!
 気持ちヨガッてた、ク・セに〜♪ 正義感強いのね〜♪」
 う。そ、そりゃ、大本を辿れば、ブータが絡んできたことが原因だけど…。
 ボクもおちんぽ腫らしたままで、大きな口きけないかもしれないけど…。
「ねぇ、鈴代くん…?」
 早川さんは両膝を抱えた。
「ホントにあたしと、えっちしたくないの…?」
 そっぽを向いた顔は、いまにも泣きだしそうなくらい哀しそう。
 うん…。ちょっと、言いすぎた…かな…。
「はじめてのとき、覚えてる…?
 気持ち、よかった…?」
「お、覚えてるもなにも…」
 今日のことだし…。
 あんな気持ちよかったコト、…イヤでも身体が思い出しちゃう。
 でも、なんでそんなこと持ち出すんだろ…?
「ねぇ、見て、ホラ」
 ツラれて見た先は、抱えられた膝の下…。
 合わさってた脛は開かれ、白い太股と太股の間に、拡げられたおまんこがあった。
 その早川さんのおまんこは、だらしなく口を開けて、はしたなくお汁のヨダレを垂らしてた…。
「あたしのおまんこ、鈴代くんのおちんぽを、待ってるのよ…。
 すごく気持ちヨクしてあげたいって…」
 ボクは、おちんぽがギンッと硬くなるのを感じて、ギュッと目を瞑った。
「シ、しない。したくないっ!」
 早川さん、ウソ泣きしてたんだ…。
 ボクはすごくショックだった。
 だって早川さんは、ボクにやさしくえっちの仕方を教えてくれて、明るくみんなを楽しませてくれて、それで…それで……こんな騙し方…ひどいよ……。
「…………」
「…………ぐすっ」
「ほぅら、鈴代く〜ん♪
 さよちゃんのおまんこでちゅよ〜♪
 おちんぽ、チュプ、チュプ、一緒に遊びましょ〜♪」
「早川さん、いい加減にっ――」
 って、そこまでいって、ボクはギョッと、なにもかも引っ込んじゃった。
 だって瞑ってた目を開けたら、早川さんが間近にいて、顎の先をボクに向けてたんだもん。
「アンタが、そんな莫迦だと思わなかったっ!」
 ば、莫迦って…。
 なんでそーゆー結論になるんだろ…?
「思ってたとおりのリクツ屋で、イイ子ちゃんの泣き虫ガリベンっ!」
 ベーッと、早川さんは舌を出した。
 う、うん。かわいかったよね…。でも、そんなのはあとあとのコト。
 このときはもう、なにが始まったのか、皆目理解不能だったんだ。
「ガリベンならガリベンらしく、牛乳ビンの底みたいなメガネして、算数の教科書みてハァハァしてなさいよっ! ヘンタイっ!」
 ヘ、ヘンタイ?!
「あーもうっ! なんでこーなんだろっ!
 四角四面の甲斐性ナシばっかっ!
 ニンゲンはねっ、感情で動くのっ!
 アンタみたいなロボットニンゲンモドキは、フロッピーの穴にちんぽいれて歓んでればいいのよっ! へんたいたーれんっ!!」
「ふ、ふろっぴー…??」
 マシンガンのようにまくし立てられ、混乱したボクは頭がまっしろ。
 なんにも、言葉が浮かばない。
 うん。ボクは腕っぷしだけじゃなく、口先もてんでダメなんだ…。
 ボクはただ、スタスタと出口へ向かう早川さんを見送ってた。
 食堂のドアで、早川さんは振り向き。
「あんたとはもう、えっちしてあげないっ!!」
 ベーッてして、廊下へ消えてしまった。
 ボクはもうなにがなんだか…。
 なんで涙が溜まってるのかも、忘れちゃってた。

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