!!!入り江の瑠歌 {{category 本編,白イルカの瑠歌,nolink}} !■入り江に来たハンス(仮名)は、瑠歌と会っていた。 // {{ref_image BG04a_80.jpg,pic}} //--  捜すまでもなく、入り江で名前を呼ぶと、白いイルカが浜辺の側までやってきた。  呼び名の通り、この白イルカが瑠歌であるらしい。 「…なんのひねりもないんだね。まんまじゃん」  拍子抜けのハンス(仮名)に、飛び猫・ニーヤが憮然と説明をする。 「瑠歌はれっきとした、人魚よ。  今は呪文で、白イルカに化けてるけど」 「なんで、化けてるの?」 「イベントよん」  白イルカの瑠歌は、子供のような甲高い声で答えた。 「人間の生活って、娯楽が少ないでしょ?  だから、娯楽を与えてあげてるのよん〜」 「タチの悪い趣味よ。  紋章持ってるのを教えて、正銘も教えて、からかってるのよ」  ブスッとニーヤが口を挟む。  どうもニーヤは、瑠歌が嫌いなようである。 「イルカ相手じゃ、なんにもできないでしょ?  どうしたらいいんだろって、悩んで騒いで、右往左往。  それをイジワルく、面白がってるのよ」 「それはアタシのための娯楽ね。  与えるだけじゃ、ツマんないんだもん〜」  瑠歌はけたたましく笑い、尾ビレで水面を叩いた。  お陰でハンス(仮名)は、水を被ってぐっしょりずぶ濡れ…。  と同時に、瑠歌の背ビレ辺りに紋章を見つけ、う〜む、と唸ってしまう。  紋章があるとなれば、いずれはえっちしなければならぬ運命。  しかし、イルカとえっちとは…。 (月光石で人になるなら、みんな苦労してないだろうし…う〜ん…)  やはり海に潜って…いやいや、その前に人として道を踏み外すのではあるまいか?  たしかにこれは難問である…。 「それで〜? アタシに何の用なのん〜?  まさか呼んだだけだなんて〜、タダじゃすまないわよ〜ん♪」  瑠歌が背ビレを使い、ハンス(仮名)とニーヤにザッパンと水を浴びせた。 //  そうであった。 「そ、そうだったね」  紋章はさておき。まずはもーほー茸の解毒。  それをしなければ、イルカとえっちどころか、もーほーさんに囲まれて狂い死にである。 //-- 「えーと…実は…」  ハンス(仮名)の話しを聞くと、瑠歌はすぐに口を開いた。 「それにはアレが必要だわん〜」 「アレって?」 「え〜と、アレよ、アレ! たしか……  “白衣の天使”ッ!」 「はくいのてんし…?」  ハンス(仮名)は目をパチクリ。 「くわしく説明してよ、瑠歌」  と飛び猫。 「アタシも古代語の文献でしか、読んだことないのよん。 『高貴なる白き衣  聖なる赤い布の冠  すべてのものに癒しをさずける』  それしか記述がないわん」 「それ、確かなの?」  疑わしげなニーヤの横で、ハンス(仮名)は腕を組んで唸る。 「う〜ん…“白衣の天使”ねぇ……」 「ギルドの宝物殿にあるハズなだわん〜。  それを持ってきてくれたら、治してあげるん〜」 「ホント?!」  ハンス(仮名)は飛びつかんばかりに、希望に顔を輝かした。 「そのかわり……」 「そのかわり…?」 「姫さまに会わせてん〜♪」 「……やっぱり…」  瑠歌の条件に、飛び猫は頭を抱えた。 「姫さまに会いたいの?」  ハンス(仮名)の問いに、瑠歌は首を大きく縦に振る。 「会わせてくれたら、治してあげるん〜♪  もう、ずぅ〜〜〜っと、会ってないんだわん。  会いたいんだわん〜。心配なンだわん〜。切ないンだわん〜」 //  イルカに化けてるとはいえ、瑠歌も人魚。  捕らわれの人魚姫を心配するのは、しごく当前のことである。  ハンス(仮名)にはそう思われた。 //-- 「べつにかまわないよ」 {{size 5,"「ダメッ!」"}}  ハンス(仮名)がいうと同時に、飛び猫・ニーヤは大きな声で打ち消した。 「じゃ、治してあげないッ! ぷいッ!!」  と、瑠歌はそっぽを向いた。 「飛び猫〜ッ!」  解毒ができるのは、瑠歌だけ。  機嫌を損ねては、もーほーさんに囲まれて狂い死にである。  ハンス(仮名)はニーヤに、すがりついて泣き始めた。 「わ、わかったわよッ!  会わせてあげるわよッ!」  ヤケクソにニーヤは、声を張り上げるしかなかった。 // 「やったぁん〜♪」 //{{counter2 mer03Count}}