!!!ハンス(仮名)の計略 {{category 本編,鋼鉄の人魚・アクア,nolink}} !■人魚姫とガンスは、館の庭園にいた。 {{ref_image no_yard02a_a.jpg,pic}} //-- 「やあ、ハンス(仮名)。  ちょうどいい処へ来たね」  ハンス(仮名)が近づくと、ガンスは愛想よく微笑を浮かべた。 「ウェディングドレスの色は何色がいいか、姫さまと話してたんだ。  ぜひ、君の意見も参考にしたいね」  もう結婚式の日取りまで決まっているかのような口ぶりである。  腹の中では、荒縄・亀甲縛りがいいとか思ってるクセに。実に白々しい。  そう思うハンス(仮名)ではあったが、おくびにも出さず、にこやかに答えた。 「ボクは白無垢に角隠しがいいな。  姫さまにきっと、よく似合うと思うよ」 「角隠し…?  聞き捨てならないな。  僕の姫さまを鬼人扱いするのかい?」  人魚姫も眉をひそめる。 「あははっ! 東方の民族衣装のことだよ。  布の冠を被って、白いキモノっていうのを身に纏うんだって。 //  シャラク・グラビアで見たのは、慎ましやかで、とてもエキゾチックだったよ」  ウタマーロゥ・グラビアで見たのは、慎ましやかで、とてもエキゾチックだったよ」 //-- 「布の冠だって?  なんとまぁ、貧乏くさい…。  そう思いませんか? 人魚姫?」 「そ、そうですわね…。  でも、どんなものか、少しだけ興味はあります」 「やれやれ…。お姫さまの気まぐれにも困ったものだね。  では今度、そのウタマーロゥを取り寄せてきますよ。  姫さまのために」  ウタマーロゥといえば、エロ画集なのであるが…。  姫さまが見たら、ガンスにどんな反応をするか、とても見物である。  ハンス(仮名)はクスクスと笑いがこみあげた。 「それはいいけど、ガンス?  紋章は手にいれたの?」 // 「紋章?」 // 「ハンス(仮名)!」 「紋章?」「ハンス(仮名)!」 //--  ガンスと人魚姫は同時に声を発した。  人魚姫のただならぬ声に、膝の上の飛び猫がびっくり飛び起きた。 「あれ? 姫さま、話してなかったの?  人魚の紋章を手に入れなきゃ、姫さまとは結婚できないんだよ?」 「ハンス(仮名)、お止めなさい」 「ホラ、ボクはもうこんなに集めた」  人魚姫の咎めも気にせず、ハンス(仮名)は着衣をはだけた。  ガンスはその首筋の紋章を見て、ハッと顔色が変わった。 「あの紋章に、そんな意味が…くぅ…」  蚊が呟くような小さな声ではあったが、ハンス(仮名)にはしっかりと聞き取れた。 //{{ref_image hime_ag_g.jpg}} //-- 「ハンス(仮名)、わたくしのお客様の前で失礼ですよ?  お下がりなさい!」  人魚姫が睨み、膝の飛び猫までが毛を逆立てている。  ガンスは深刻な面持ちで人魚姫に向き直った。 「姫さま、いまハンス(仮名)がいったことは本当なのですか?  人魚の紋章を集めさせているというのは?」 「え、ええ…。  でもガンス、あなたはそんなことせずとも…」 「いいえ。僕も婚約者候補のひとり。  ハンス(仮名)が集めているのなら、僕も集めねばなりません。  そして紋章を手に入れた暁には、晴れて婚約者と認めていただけますね?」 「ええ…でも、ガンス……」 「なんのご心配もめさるな。  不肖ガンス、人魚姫さまのためなら、火中の栗でも拾って差し上げましょう」  ガンスはキラリと前歯を光らせる。 「たとえこの身が、業火に焼かれようともっ!」  業火に焼かれるとは…己の罪を白状しているようなものである。 「では、急用を思い出した故、今日はこれにて失礼いたします。  吉報をお待ちください、人魚姫さま」  そう一礼すると、人魚姫の返事も待たず、ガンスは急ぎ足で玉室を後にした。 // {{ref_image hime_ag_g.jpg}} //-- 「ハンス(仮名)、どういうおつもりですの?」  人魚姫の目は実に険しいものであった。 「ボクはただ、姫さまを思って…」 「言い訳は聞きたくありませんっ!」  問いただした本人は、ピシャリと切り捨てた。  しかし、紋章のことはごく限られた者しか知らない、極秘中の極秘。  軽々しく口にしたハンス(仮名)への怒りは、理解できようものである。 「わたくしは“眠り”ます」  取りつく島もなく人魚姫は目を瞑り、ハンス(仮名)はヤレヤレ…と頭を掻いた。  また姫さまを怒らせてしまったか。  しかし、ガンスの仮面を剥がすためにはいたしかたない。  勝負はこれからである。 !■りりんに体を洗われ、ハンス(仮名)は泡だらけとなっていた。 // {{include_html htmlPIC,"!りりん洗い"}} // {{ref_image ni_bathA01_as.jpg,pic}} //-- 「ねぇ、りりんは、ガンスと姫さまが結婚したら、どうする?」  りりんの手が、ピタリと止まる。 // {{ref_image evLilin_tr.jpg,りりんのコスプレ劇場}} //-- 「それ、冗談でしょ?」 「だったらいいんだけど……。  実は、ガンスにいっちゃったんだ。  アクアの紋章を取れたら、姫さまと婚約できるって」 「なんでそんなこといったの?!」  ギュッと握られ、ハンス(仮名)は堪らず悲鳴をあげた。 「イタタッ!! ゴメンよ!  でもしょうがなかったんだ。  ガンスの正体をいっても、姫さまや飛び猫は信じてくれないから…」 「そういうことをいってるんじゃないのよ、ハンス(仮名)。  いい? アクアはモノじゃないのよ?  わたしの紋章、返してもらおうかしら」 「じゃ、またりりんと、えっちできるね」 「あのねぇ、ハンス(仮名)――」 「わかってるよ、りりん。  ボクは、アクアの正銘は知らない。  そのことは、アクアの意志にゆだねようと思ってるんだ。  アクアがガンスに教えるなら、しょうがないと思ってるよ」  りりんは、グッと眉根を寄せた。 「でも鍵は貸さないわよ」 「りりんも、姫さまとガンスの結婚式なんて、見たくないでしょ?」 // {{ref_image evLilin_tr.jpg,りりんのコスプレ劇場}} //-- 「……」  りりんは諦めたような溜め息をついた。 「今回だけよ、鍵を貸すのは。  御祖父さまたちには、わたしからうまくいっておくわ」 「ありがとう、りりん。  りりんならきっとわかってくれると思ってた」 「もう。調子いいんだから…。  事が済んだらちゃんと返すのよ?  合い鍵もダメよ?」  そういってりりんは、湯殿を出ようと背中を向けた。 「ねぇ、まだ洗うの途中だよ?」 「後は自分でやんなさいッ!」 //{{counter2 mer03Count}}