!!!ガンス嫌い {{category 本編,鋼鉄の人魚・アクア,nolink}} !■人魚姫とガンスは、館の庭園にいた。 {{ref_image no_yard02a_a.jpg,pic}} //--  まるで恋人同士のように、仲睦まじく談笑する、人魚姫とガンス。  ハンス(仮名)はソレを、遠い柱の陰から、シャツの裾を噛みしめ、うらめしそうに見ていた。  女の子ならイジらしい姿であろうが、男であれば情けなくもみっともない姿…。  まったく。少しは主人公の自覚をもって欲しいものである。 「…ハンス(仮名)……ハンス(仮名)……」  柱の陰から顔を覗かせ、爺さんがちょいちょいと呼び寄せる。 //  こちらも少しは、ギルドの長という自覚をもって欲しいものである。  まるで家から叩き出されたダメ亭主が、妻の怒り具合を探りにきたようである。  こちらも少しは、ギルドの長という自覚をもって欲しいものである。 //-- {{ref_image no_balcony02a_a.jpg,pic}} //-- 「なあに、 爺ちゃん?  コソコソとなんで隠れてるの?」 「ワシがここに居ること、アヤツにはいっておらんじゃろうな?」  爺さんは親指をガンスに向けた。 「うん。  ガンスは爺ちゃんがここにいること、知らないの?」 「アヤツと顔を会わせたくないんじゃ」 「ははぁ〜ん。  さては爺ちゃんも、ガンスが苦手なんだね〜」  祖父の弱味を知って、いじわるな眼差し。  なにをネダろうかと、頭の中で候補がぐるぐる回る。 「“も”ということは、おまえ“も”か、ハンス(仮名)」  う、と言葉に詰まるハンス(仮名)。  ぐるぐる回っていた“おねだりたち”が、失速して墜ちた。 「アヤツの爺には、何度も煮え湯を飲まされたんじゃ。  いつも影でコソコソやりおって…。  一族揃って、陰険の血が流れておるんじゃ!!」  どうやら、ハンス(仮名)と似たような過去を持つようである。 「ここしばらく顔出さんかったから、安心しておったんじゃが…」 「どうにかしてよ、爺ちゃん。  ガンスのヤツ、姫さまが気に入ったらしいんだよ」 「姫さんも、まんざらでもないようだの」 //  まるで人事。 //  いや、ガンスにいくらふっかけようか、そろばんを弾いているようである。  いや、人魚姫がいくらで売れるか、そろばんを弾いているようにも見える。 //-- 「じいちゃ〜ん〜」 //  すがりついて泣くハンス(仮名)の肩を、祖父はガシッと掴む。  すがりついて泣く肩を、祖父はガシッと掴む。 //-- 「ハンス(仮名)、あとは任せた! 応援しとるぞ!  わしゃ、アヤツは苦手じゃ」 「じいちゃ〜ん……」 「泣くな。気色悪い。  男なら、自分でなんとかせいッ!!」 「なんとかできるなら、やってるよ〜!  ボクに勝ち目があると思う……?」 「ない」  大声を上げて泣く、ハンス(仮名)。  ガンスの目を気にして爺さんは狼狽えると、ハンス(仮名)の口を塞いで囁く。 「知っとるか?  アヤツ、ヨットでデートをしゃれこんで、相手に突き落とされたんじゃと。  くっ、くっ、くっ!  そのまま浮かんでこなければ、おもしろかったんじゃがの」 「そのジョーク、つまんない…」 「ジョークであるものか。事実じゃよ。  小さい頃に、いやというほど教えたじゃろ」  どの教えであろうか…?  判然としないハンス(仮名)に、祖父は言葉を続けた。 「勝ち負けは情報がモノを言う。  どう使うかは、おまえ次第じゃ」 !■「……」 {{ref_image le_bath01a_b.jpg,pic}} //  そ〜と。用心するように、スフィアが玉室をのぞき込む。 「? どうしたの、スフィア?」  “封印の眠り”に入った人魚姫。そしてハンス(仮名)。  飛び猫はガンスを送りにいって、まだ戻らない。  玉室にいるのが二人だけであることを確認すると、スフィアはほっと安堵をついた。 // {{ref_image sf_maid_iya.jpg,スフィアのアルバム}} //-- 「やっと帰ったんだね」  スアィアは、ほっかむりした逆さ箒を持っていた。 「ガンスのこと?」 「スフィア、あのひと、きら〜いッ!  イヤだっていうのに、変なことばっかりするんだもん!!」 「変なこと? スフィアに?」 「うん。エッチなこといわせようとしたり……。  さっきだってスフィアの手、ギュッと握って、離してくれなかったんだよ?  ホラ、見てよ、ハンス(仮名)」  スフィアが小さな手を差し出して見せる。  白い肌に、痛々しい真っ赤な跡がついていた。 「大丈夫? 痛くなかった?」  ハンス(仮名)はかわいそうな手を、やさしく撫でさすってあげる。 「痛かったよ、とっても。  スフィア、涙が出そうになっちゃった。  でも、姫さまの大事なお客さまだから、必死になって堪えたんだよ。  スフィア、エライでしょ?」 「こんなになるまで、我慢しなくてもいいのに…」  スフィアの前髪を、そっと撫でる。 「うん。ハンス(仮名)がやさしくしてくれたからいいの!  スフィアの心配してくれるの、ハンス(仮名)だけだね!!」  スフィアがハンス(仮名)に、すりすりと抱きつく。 「あははは…」  苦笑いしながら、ハンス(仮名)は人魚姫の眠りを、横目で確認した。 「ひどいんだよ? 姫さまも飛び猫も。  スフィアのいうこと、ぜんぜん信じてくれないんだもん!」  同病、相哀れむ。  ふたりは肩を落として、ひとつの溜め息をついた。 「{{ruby "故国","くに"}}にいたときも、女の子によくケガさせてたんだよ、あのひと」 「ガンスが来てたの?!  その話し、初めて聞いた」 「ルビーのこと、覚えてるでしょ?」 「赤毛で髪の長い、三つ編みがよく似合う子だよね。  笑うとえくぼがかわいくて、クロワッサンを作るのが得意だったっけ」 「うん。ハンス(仮名)の105番目の奥さん。  背中に古傷があったでしょ?」 「そ、そうだったっけ」 「アレ、……ガンスにヤラれたんだよ」 !■りりんに体を洗われ、ハンス(仮名)は泡だらけとなっていた。 // {{include_html htmlPIC,"!りりん洗い"}} {{ref_image evLilin_bath.jpg,りりんのコスプレ劇場}} //-- 「ガンス?  知ってるわよ。ここにもよく来るし」 //  そういってりりんは、ハンス(仮名)の腕を跨いだ。  そういってりりんは、泡だらけの胸で、ハンス(仮名)の腕を洗い出した。 //-- 「わたしは一度も相手をしたことはないけど。  …痛いのはゴメンだもの」 「痛いって?」 「そういうシュミなのっ!  なんか、前にもこんな台詞いったわね……あっ!」 「どうしたの?」 「思い出したの。  アクアを捨てたの、ガンスよ」 「それ、間違いない?」 「もちろん。  えらく長い名前だったもの。  …ガンス……ハンス(仮名)……。  なんだか似た名前ね。名字も…後半が似てるし……」 「あっ!」 「どうしたの、ハンス(仮名)?」 「いまの、すっごく、気持ちよかった!!」 「そう? 変な処がイイのね……」 「うん。たまにヤッて」 !■ピアスは怒ったように、フラインパンをジュージューいわした。 {{ref_image ps_evning_jt.jpg,マーメイド03-2}} // {{ref_image ps_evning_up.jpg,マーメイド03-2}} // 「知らないわよ、ガンスなんて。  知りたくもないッ!」 //  ピアスは怒ったように、フラインパンをジュージューいわした。 「ということは、知ってるんだ。ガンスのこと」 「だからいってるでしょ? “知りたくもない”って!  女ったらしの従兄弟がサドだったなんて、知りたくもなかったわよ!」 「あ、サイですか…そこまでお知りですか……」 「それよりハンス(仮名)」 //  皿に盛りつけ、料理を出す。 //  ピアスは炒めていたものを皿に盛りつけ、おいしそうなスバゲッティを出した。  ピアスはフライパンから皿に盛りつけ、おいしそうな料理を出した。 //-- 「今日は小うるさい小姑、どうしたのよ」 「湯気を立ててるスパゲッティは、とってもおいしそうだよね〜♪」 //  などと思い、ハンス(仮名)は現実逃避。 「姫さまともども、サド王子と晩餐か…」 「お、おいしいね、ピアスの作った料理は!」 「泣かないでよ、莫迦。  くやしいなら、くやしいって、男らしく叫びなさいよッ!」 //  そう叫ぶと、ピアスはハンス(仮名)からスバゲッティを取り上げた。  煮え切らないハンス(仮名)に怒ると、ピアスはハンス(仮名)からスバゲッティを取り上げた。 //-- 「だってぇ……」 //  スバゲッティを取り上げられ、フォークをくわえるハンス(仮名)。  ハンス(仮名)はフォークをくわえて、今にも泣きだしそうな顔である。 //-- 「あ〜! もう、うっとおしいッ!!  どっちが哀しいのよ?!  姫さま? それともスパゲッティ?!」 「……両方」 「莫迦ッ!! もう知らないッ!!」 //  プンッとピアスはそっぽを向き、ハンス(仮名)はフォークをくわえてションボリ。 //  ぐじぐじとした沈黙の中、ふくろうだけが流れる時を数える。  プンッとピアスはそっぽを向き、ハンス(仮名)はフォークをくわえたまま、ぐじぐじ…。  沈黙の小屋の外で、ふくろうだけが流れる時を数える。 //-- 「アクアのことだけどね…」 //  沈黙に堪えきれず、ピアスはポツリと口を開いた。  ピアスはポツリと口を開いた。 //-- 「なんとかなるかもよ。  “鋼鉄の処女”は一種の封印だから、封印を解けばいいのよ」 「……封印を、解く…?」 //  ピアスはコクリと頷いた。 // 「心からハンス(仮名)を“欲しい”、と思わせるのがてっとり早い方法ね。 「心からあんたを“欲しい”、と思わせるのがてっとり早い方法ね。 //--  そうすれば内なる魂の力で、封印が解かれるわ」 「それって、えっちしたくさせろってことだよね?  強力な催淫剤でも使うの?」  ピアスは、けらけらと笑った。 「莫迦。“心から”っていったでしょ?  あんたにホレなきゃ、なにやってもダメよ!」 「ホレさせるねぇ…」  アクアとはわるい関係ではないが、そんな関係になるかは怪しいものである。  それに、姫さまやニーヤはなんというだろう…?  本格的に捨てられ、ガンスの元へ走ってしまうのではなかろうか…。 「まあ、つまるところ、あんたの努力次第ってワケよ。  がんばってね」 //  ピアスは勇気づけるように、ハンス(仮名)へ微笑んだ。  ハンス(仮名)の不安などは知らず、ピアスは勇気づけるように微笑んだ。 //-- 「でもさ、ピアス?  アクアはガンスのことが好きだったんでしょ?  じゃ、ガンスはなんでダメだったんだろ…?」 「アイツのは痛めつけるだけでしょ?  SMってのはね、そんなもんじゃないのよ。  アクアはどっかで、受け入れたくなかったてことね」  ピアスは小莫迦にしたように肩をすくめた。 「ふ〜ん。くわしいんだね」  ピアスはポッと頬を赤らめた。 「ほ、本で読んだだけよ…。  よ、読みたかったら、貸すわよ?」 // // 「これからボクと、実践してみる…?」 // 「莫迦っ!」 //  からかってるのがわかったのだろう。 //  ピアスは照れ隠しみたいに、エプロンをハンス(仮名)に投げつけた。 // 「ふーん…。それって、えっちな小説ぅ〜?」 「莫迦っ!」  ピアスはエプロンをハンス(仮名)に投げつけた。 //-- 「でもピアス?  なんでボクに、解除の方法を教えてくれるの?」  ピアスも紋章を集めているのは知っている。  解除法を教えるなど、敵に塩を贈るようなものである。 「あたしがアクアの紋章を取ることはできないけど、あんたならなんとかできるでしょ?  そしたら、あんたから紋章を取り返すの。  あたしのと姉さんのと、アクアの紋章。  三倍付けでドンっ! ね」  ピアスはニコニコ、とてもごきげんである。 「まだ諦めてないんだ……」 「莫迦ねぇ! 当たり前でしょ?」 //{{counter2 mer03Count}}