!!!今日こそ勝負ッ! {{category 本編,人魚解放同盟のピアス,nolink}} !■ハンス(仮名)と飛び猫は、湖へ続く、川沿いの道を歩いていた。 {{ref_image BG19a02_80.jpg,pic}} 「今日のピアスの料理、どんなかな?  楽しみだね〜♪」  人魚捜しにいそしみつつも、ハンス(仮名)の心と足は、はや夕食に向いているのである。 「あんたねぇ…。  たまにはスフィアの料理も食べてあげなさいよ。  嘆いてたわよ、スフィア」 「うっ。  だ、だって、スフィアのは……破壊的というか、暴力的というか……」 「…まぁ、けっしておいしくはないわ……ね」 「でも、ホント、意外だよね〜」 「なにがよ?」 「ピアスってガサツで大雑把って感じなのに。  料理がうまかったりして、すごく女の子っぽいんだもん」  実際、アジトも粗末な小屋ではあったが、それでもなんとか飾りたてようと努力されているのである。 「口の周りを拭いてくれたりさ。  こまめっていうか、気配りがあるっていうか〜。  世話焼きなトコが、かわいいよねぇ〜」  同意をもとめて笑みを向けると、飛び猫・ニーヤはツンとそっぽを向いた。 「フ、フンだ。  姫さまにだって、料理ぐらいできるわよ」 「へ〜。どんな、どんな?」  ワクワク、キラキラな目をハンス(仮名)が向ける。 「ナチュラル風海草サラダ…」  人、それを“単なるワカメ”という…。 「あはっ! ヘルシーでいいねっ!」 「ば、莫迦にしてんの?! アンタ!!」 「な、なんだよ〜。ニーヤがいったんじゃないか〜」 //  などと。  相手が猫でなければ、痴話ゲンカなことをしていると…。 ////-- {{size 5,"「勝負よ、ハンス(仮名)ッ!」"}} {{ref_image ps_gake.jpg}}  崖の上からピアスが現れたのである。  びしッ! と高圧的に指さされ、ハンス(仮名)とニーヤはあんぐりと口を開けてしまった。 「……な、なにやってるの? そこで?」 「……」  どうやら、深い考えもなしに登ったようである。 「き、気分よ。  そう、気分的な問題ね!  この方が、挑戦的でしょ?」 // 「この前みたいに、おたまで指されるよりはマシね」 「まぁ、おたまで指されるよりはマシね…」  糸のような目には、少々の哀れみさえあった。 //-- 「う、うるさいわね…」  恥じ入るところをみると、ピアスにも自覚はあったようである。 // 「危ないよ〜、ピアス〜〜!! //  早く降りておいでよ〜〜」  そんな高いところ、コワくないの〜〜?!」  頬に手を当てハンス(仮名)が叫ぶと、繰り返す木霊が高さを再確認させた。 「大した高さじゃないわ!  ち、ちょっと、膝が震えるくらいのものよ」  それを“けっこうな高さ”というのではあるまいか…? //-- 「と、とにかく。  勝負よ、ハンス(仮名)!  アジトで待ってるわ! 覚悟なさいっ!!」 「いわれなくても行くよ〜。  ごはん、食べに〜♪」 「だ・か・ら!  そうじゃないでしょッ!  勝負しに来るのッ!」 「ごはんは〜?」 「……つ、作っておくわよ」 「んじゃ、行く〜♪」  二つ返事をすると、さすがにニーヤは口を挟んだ。 「あのね。 //  状況わかってるの、ハンス(仮名)?」  状況わかってるの、アンタ?」  勝負というからには、紋章を賭けてえっちするということである。  しかも自信満々なピアスからすると…。 「ピアスが覚えてくれたんでしょ、ボクの名前。  そうでしょ〜? ピアス〜?!」 「まっかせなさいッ!」  ピアスはプルルンと、豊かすぎる胸を揺らした。 「ほらね。  たしか、飛び猫はまだだったよね…?」 「よけいなことはいわんでよろしいッ!」  ぽかっと飛び猫が、ハンス(仮名)の頭を叩いた。 「ふふん!  どうやら知能指数は、胸の大きさに比例するみたいね」  豊かすぎる胸が自慢げに弾んだ。 「そ、そんなことあるもんですか!  あたしは覚える気がないだけよッ!」 「やあねぇ〜、負け惜しみって。  ま、それも仕方がないわね。  勝てる要素なんて、ぜ〜んぜん、ないんですもの。  ホ〜〜〜ホッホッホ〜ッ!」  豊かすぎる胸が、せせら笑って揺れまくりである。 「な、なんですってぇ〜ッ!  大きければいいってもんじゃないのよ、ホルスタイン女ッ!」 「ホ、ホルスタイン…?  いってくれるじゃないの、乳首オバケ。  数ありゃ、いいってもんじゃないのよ!」 「乳首オバケェ?!  黙ってきいてれば、いい気になってぇ〜!」 「ほ〜、ほ〜。  さっきからキーキー、お猿みたいにわめいてるの、誰かしら?」  崖の上と崖の下、怒鳴り合う罵声が、みっともない木霊を作って、辺りに轟く。  取り残されのハンス(仮名)は、傍にいるとひどく恥ずかしい…。 「あの、ちょっと、二人とも……」 // {{size 5,"「あんたは黙ってなさいッ!」"}} {{size 5,"「アンタは黙ってなさいッ!」「あんたは黙ってなさいッ!」"}} //  二人に怒鳴られるハンス(仮名)。  両人に怒鳴られ、ハンス(仮名)はシュンと小さくなった。 // 「……はい」 //-- 「女の胸は、感度よ!  感度がよければいいのよ!」 「みなさん、そうおっしゃるわね。  ことに、胸の薄いネンネさんは」 「ムッキーッ!! この淫乱女ッ!」 「マセガキッ!」 「デカ尻ッ!」 「毛むくじゃらッ!」 「乳オバケっ!」 「乳首妖怪っ!!」  ヒステリーを起こし、罵りあう両人。  お陰で低レベルな罵詈雑言は、辺り一帯の梢を揺らし、怯えた小鳥さんたちがこぞって逃げ出す始末。  なすすべなくハンス(仮名)は、お茶をズズッとすすって待った…。 「ぜいぜい…」 「はあはあ…」  小一時間ほどすると、両人は荒い息で睨み合うばかりとなり…。 「もう、怒ったッ! ハンス(仮名)ッ! {{size 5," ヤっちゃいなさいッ!」"}} 「ほへっ?」 {{size 5,"「のぞむところよッ!」"}} 「え、いや、でも……いいの?  ボク、ピアスの正銘、知ってるんだよ?」  ピアスの目が点になった。 // 「……うそ」 {{size 1,"「……うそ」"}} 「紅玉でしょ?」 // 「どこで聞いたのよ…。 {{size 1,"「どこで聞いたのよ…。"}}  わかった、りりんでしょッ!」 「違う、違うよ、りりんじゃないよ!  ほんと、ウソじゃないよッ!」 「……そう、よかった。  りりんじゃないのね?」 「うん」 「じゃ、盗み聞きしたんだ」 「うん。  ……て、違う、違うッ!」 「卑怯者ッ!  盗み聞きなんて、男のすることじゃないわよ!」 「ぐ、偶然なんだよ」 「うるさいわねッ!  言い訳なんて、男らしくないわよッ!」  先程までの自信満々はどこへやら。  ピアスは、チッとばかりに爪を噛んだ。 「とにかく。  これで勝負は互角ね。  待ってるわよ、ハンス(仮名)ッ!」  そういってピアスは身を翻した。 「ま、待って! //  献立を教えてよッ!!」 {{size 4," 献立を教えてよッ!!」"}} 「……“うつぼ=かずら”のムニエル」 「食べにいくからね〜♪」  言い残して消えるピアスを、ハンス(仮名)はハンカチを振って見送った。 // 「莫迦ね。  なんでバラしちゃうのよ」  ニーヤは呆れた吐息をついた。 「だって……。  フェアじゃないよ、そんなの」 「ほんっとに莫迦。  男と女に、フェアも謝恩セールもないのよ?」  ニーヤは、ヤレヤレ…と吐息をついた。 「ま、勢いでいっちゃった手前なんだけど。  ピアスのトコへ、行っちゃダメよ」 「なんで?  ニーヤも食べたことないでしょ? ムニエル…」 「おいしいらしいわね…。  て、そうじゃなくて。  姫さまとの約束、忘れたの?  “姫さまだけを愛します”っていったの誰よ?!」 「紋章集めろっていったのも、姫さまだよ」  ニーヤが、ぐっとニラむ。 「わかってるよ。  ムニエル食べて、なにもせずに帰ればいいんでしょ?」 「……信じてあげるわ」 「え? なんていったの?  小声で聞こえなかった」 //  くいくい、と指で合図する。 //  くいくい、と指で耳を指し示す。  ハンス(仮名)は耳に手をあてた。 「食い意地はったスケベッ! て、いったのよッ!」 // 「ギァ〜ッ!」 //{{counter2 mer03Count}}