!!!はじめてのフロッピー  うん。そうだね。  ヤセ我慢っていわれても仕方ない。  莫迦だなぁ…って笑われてもしょうがない。  いっそゲラゲラ、嘲笑ってくれた方が、スッキリする。  だってボクは、トイレの個室でおちんぽ握ってるんだもん。  早川さんが食堂をでていったあと。  ボクはとても苦労したんだ。  だって、手は後ろ手に縛られたままだし。  おちんぽは大きいままだし。  美代ちゃんを早く追いかけたいし。  でも、周りはえっちに夢中で、ダレも助けてくれそうにないし…。  で、しょうがないから、自分でなんとかしたんだ。  具体的には、繩抜けの要領で、縄跳びみたいにお尻の方から腕を前に回したってワケ。  うん。そうなんだ。ボク、こういうヘンなコトだけは、うまいんだ。  とはいえ、いうほどたやすくはなかったよ?  だって、おちんぽが大きいままだから、身体を曲げるのにジャマだし…。  タマタマが股に挟まって、つぶれるような苦しみを味わったし…。  まぁ、そうやって腕を前にすると、後はワリとラクだった。  縛っているものはハンカチだったし、外しやすいように、チョウチョ結びだったからね。  口で引っ張ったら、すぐに解けてくれた。  で、一息つく間も惜しんで、美代ちゃんを捜しに走ろうと思ったら…おっきいままのおちんぽがジャマ。  周りは、アンアンいってる最中で、そういうのを聞くともなしに見るともなしで四苦八苦してたから…その…気持ちの方もムラムラが納まらなくて…。  っていっても、食堂の中ではアキの子はいなさそうだし…。  仕方なしに、ムラムラ、モヤモヤは、トイレに流すことにしたんだ。  ちなみに、隣の個室では…。 「…うぅ…まだおっきいよ…山田くん…」 「ハァハァ…キクちゃん…キクちゃん…」  って感じの真っ最中だから、オカズにはちょうどいいのかもしれないね。  …うん。そうだね…。情けないよ、ホント…。  ホント、こんなコトなら、早川さんとえっちしておけばよかったよ…。  ボクはそんな後悔をしながら、おっきいままのおちんぽを摩って、何度目かのため息をついた。  でも、ボクにだってイジってモンがあるもんね。  あそこでえっちしたら、早川さんの手の平で踊らされてるみたいで、とてもシャクだもの。  友達の美代ちゃんにまであんなコトするなんて、早川さんはホント、どうかしてるよっ!  ……。  うん。ごめん。ウソついた…。  ホントは、イジとか、手の平とか、友情なんて、さして大きくもないんだ。  美代ちゃんとシたかったのをジャマされたのが、ただ、気に食わないだけなんだ。  ボクも結局、早川さんと同じ。  えっちしたいだけ。  それをジャマされたから、怒ってるだけ…。  でも、なんで早川さんは、あんなにボクにこだわったんだろ…?  やっぱり、おっきいからかな…?  うん。そうだね。ただの自惚れだよね。  早川さんとはもう、シたことあるんだし。  もう一回したいだけなら、後ででもいいんだし。  たぶん、アレだよ。小田先生のいってた、“オンナ冥利”ってヤツ?  早川さんにしてみれば、“賞品”の自分を拒否されちゃったんだもんね。  プライドが傷つくよね…。  って思ったら、“オンナ啼かせのサオシ”って意味も、わかんないようなわかったような気がした。  でもさ。  あのときの美代ちゃんを放って、早川さんとえっちするなんて、美代ちゃんが可哀相だよね…。  結局、おちんぽをココまで大きくしてくれたのは、美代ちゃんなんだし…。  ……だよね?  なんか、あらためて思い返すと、自信がないや…。  目は早川さんに釘付けだったし、息を吹きかけられたときも、早川さんと錯覚しちゃったし…。  うん。実はよく覚えてないんだ。  愛撫してくれてたのは美代ちゃんだけど、そう仕向けてたのは早川さんで、ボクも早川さんがしてるみたいに感じてたのかもしれない…。  なんなんだろ…ボク…。  両思いになった女の子の愛撫で、他の女の子を感じてる、なんて…。  ふぅ…。  って、また溜め息をして。おちんぽが向いてる、白い便器に目を落とした。  トイレの神様が女の子なら、妊娠しちゃうのかな…?  ふと浮かんだのは、早川さんの天使姿だった。  うん。そうだね。  テーブルでの舞は、とっても可憐で、すごくえっちだったね…。  手足が長くて、プロポーションもよかったし。  胸がないのは、仕方ないし。  天使なら、あのくらいの方がよく似合うよ……。  くすっ。  でも早川さんなら、白い翼より、黒い翼と矢印みたいな尻尾だよね。  それもかわいいかもね…小悪魔な早川さん…。  て。もう…。  なんでまた早川さんを思い浮かべて、おちんぽ摩ってるのサっ!  ほら、目を瞑って、美代ちゃんを思い浮かべて…。  ソレは早川さんのおまんこっ!  美代ちゃんのは、もっとこう…どんなだっけ…。  暗がりで、よく見えなかったんだよね…美代ちゃんの…。  もう。なんでこうなんだろ…。  好きな子のおまんこの形も知らないなんてっ!!  うん。早川さんのいうとおりかも。  一度、ふろっぴーに突っ込んだ方がいいのかもね…。  あ。そうそう。  ところで…“ふろっぴー”って、なんだろ?  結局、個室の中ではイケなかった。  悩むっていうか、自虐を繰り返して撫でているウチに、おちんぽは納まってくれた。  時間はかかったみたいだけどね。  でも、トイレの神様の、オンナ冥利を引き裂いちゃったかな…?  バチがあたりませんように…。  とにもかくにも、美代ちゃんを捜さなきゃね。  もう遅いかもしれないけど。  ボクは手を洗って、トイレを出ようとして、ふと、また思い出してた。 “ふろっぴー”  聞き慣れない言葉だし。  ほら、おちんぽを摩ってたでしょ?  そのせいか、オナニーグッズなのかな…って。  おちんぽ入れろ、っていってたし…。  でも、罵倒の言葉でそーゆーのはヘンだよね?  いや。合ってるのかな…?  むぅ…。  と、唸りつつ歩いたら、人とぶつかりそうになっちゃった。 「おっと。ちゃんと前を見ないと、危ないよ?」 「あ。立花先生」  立花先生、食器のトレイを持ってた。  食べ終わって、返しにいくとこだったんだね。  お皿とかは落としてなかったけど、スプーンを落とさせちゃった。 「ご、ごめんなさい」 「うん。夜の校舎は暗いから。  気をつけるんだよ?」 「はい」  ボクはスプーンを拾って、トレイの上に置いた。  で、ついでに美代ちゃんのことを聞いてみた。  アテはなかったから、見かけてたら手がかりになるからね。 「みよ――佐藤美代さん、見かけませんでしたか?」 「黒髪の長い子だよね? 見てないな」 「そうですか…」  残念。  立花先生、けっこう物知りなんだけど…さすがにこういうのは、ね。 「佐藤さん、どうかしたの?」 「えと。ちょっと、捜してただけで…知ってたら、教えてもらえるかな…て」 「そう。見かけたら、教えてあげるよ」  立花先生は、いつもの微笑を浮かべた。  さすがに、処女キラーだね。  疲れが浮かんでないや。 「それじゃ――」  と。別れ際。なぜだか、先生なら知ってるんじゃないかと思ったんだ。 「先生、“ふろっぴー”って、なんですか?」  百聞は一見にしかず。  っていうよね?  すぐにでも美代ちゃんを捜すべきだろうけど、一見してわかるなら、そう時間もかからないだろう。  そう思って、ボクは立花先生と職員室に向かってるトコ。  うん。そうなんだ。  立花先生が“ふろっぴー”を持ってて、職員室にあるっていうんで、見に行くワケ。  途中、美代ちゃんが見つかるかもしれないし。  一石二鳥になるとありがたいんだけど。 「フロッピーは、フロッピーディスクだよ。  いまのPCにはついてないから、知らないよね」  立花先生が、歩きながら教えてくれる。 「そうだなぁ…。  USBメモリーならわかる?  PCのファイルとかをいれて、持ち運ぶやつ。  あれみたいなもんかな」 「USBメモリーか…。  でも、穴ないし…どっちかっていうと、オトコだけど…うーん…」 「穴のあるフロッピーか。それはずいぶん古いね」  立花先生は困ったみたいに苦笑した。  職員室に入ると、まっすぐ立花先生の机に向かった。 「これが、フロッピーディスクだよ」  立花先生が、引き出しの奥から箱を取り出し、その中の一枚を差し出してくれた。 「5インチってサイズ。  あとは8インチっていうのもあるけど、いまここにはないね」  その5インチの“ふろっぴー”は、黒いペラペラの正方形だった。  プラスチックみたいな感じの材質で、窓がひとつと、真ん中にそこそこの穴があった。  なるほど…コレにいれて……。  って、指で穴を撫でてみると、けっこう鋭利な感じ。  うー、切れちゃいそう……ていうか、入れたらズル剥けの大怪我だね…。 「気をつけないと、指を切っちゃうよ?」  立花先生が机に肘をついて教えてくれた。 「そうですよね。ケガしちゃいますよね」 「……」 「……」 「……そのフロッピー、見たことがあるのは、キミで二人目。  もうひとりは、早川さんだけだよ」  そういって、立花先生は微笑んでいた。  なんか、全部見透かされるみたい…。 「……ん、んと…んと…」 「うん。ゆっくりでいいよ。  お茶、いれようか?」  そういって立花先生が席を立ち、ポットのあるところへ向かった。  ボクは、先生がお茶を持ってくるまでの間、ゆっくり考えを整理した。  うん。そうだね。  ボクの抱えている問題もあったけど、立花先生の知っている“早川さん”を知りたくなってたんだ。 「ぷはは。それはすごいこといわれたねぇ!」  かい摘んで経緯を話すと、立花先生は爆笑した。  笑わないっていったのに…。 「ごめん、ごめん」  ぶすっと口を尖らせるボクに、立花先生は謝ってくれた。 「先生もね、むかし、同じこといわれたなぁ、って。  ちょっと懐かしくなってね」 「先生も、早川さんにいわれたの?」 「別の人だけどね。  いや、さやちゃんにもいわれたかな?」  “さやちゃん”だって…。  なんか、先生と早川さんって、親しそう…。  なんか、なんか…チクッとする…。 「せ、先生と早川さん、えっちしたことあるんですか?」 「うん。あるよ」  チクッ。 「たぶん…今晩あたり、くるんじゃないかな…」  チクッ。 「キミは、さやちゃんのことが好きなのかい?」 「べ、べつにそんなんじゃ…」  もちろん、早川さんのことは好きだよ。  でもそれは、友達として…だと思う。  少なくとも、先生が聞いているのは別の意味だろうから、うそはついてない…と思う。 「……」  立花先生は、ただ黙って微笑んでいた。  あ…。そうだったね。すっかり忘れてたよ。  立花先生は聞き上手っていうか、相手が話し出すまでこうしてるんだ。  それでつい話しちゃったり、根負けしちゃったり…。  まぁ、悩みも解決してくれるからいいんだけど。  話しが終わるまで、長くなっちゃうんだよね。 「……え、えと…」 「うん?」  どうしようか迷ったけど、時間ももったいないから、ボクは話すことにした。 「か、かわいいけど…気もつよいし…ボクの好みとは正反対だけど…。  でも、えっちして、気持ちヨクしてくれて…その…できれば仲直りくらい…んーと…。  なんで、あんなことしたのか、知りたい…です」  しどろもどろだけど、なんとか要点だけは話せた気がする。  好きかどうかはなんとかゴマかせたし…。 //  うん。そうなんだ。  実のところ、自分でもよくわからないんだ。  トイレの個室でもそうだったよね?  なんで、こんなに気になるのか…わからない。  美代ちゃんへ片思いしてたときとは、全然別の気持ち。  なんていったらいいのか…仲良しになりたい、っていうところは同じなんだけどね…。 //-- 「キミは、いいヤツだな」  しばらくボクを見ていた先生は、ポツリとそういった。  ボクは目がまんまるくなっちゃう。  だって、なんでそうなるのか、わからなかったもの。 「本当にそう思うんだよ。  さやちゃんの癇癪って、すごいだろ?  あれを当てられるとね、みんな離れていっちゃうんだ。  彼女も自覚はあるみたいだから、爆発させるのとてもは珍しいね」  まぁ、たしかに…アレはひかれちゃうよね…。 「僕も最初はびっくりしたよ。  でも、うれしかったな」 「え。先生って、マゾだったんですか?」  つい口から出て、ボクは慌てて口を塞いだ。 「あっはは! さやちゃんにもいわれたよ。  でも、小田先生の前でいっちゃダメだよ?  オシオキされちゃうからね?」 「そ、そうですね…はは…」  立花先生に調子を合わせてボクが笑うと、先生は身を乗り出すようにして、声を低くした。 「これはちょっと内緒の話。  キミだから話すこと。  だから絶対、誰にもいっちゃダメだよ?  約束できる?」  先生はいつものように微笑んでいたけど、すごく真剣なことはわかった。  だからボクは、黙って頷いた。 「さやちゃんは、家庭の事情なんかがあってね。  感情を表にださない子だったんだ」  ボクは誰の話しをはじめたのか、一瞬、わからなかった。  だって、人懐っこくて、活発な早川さんからは、そんなの想像できなかったもの。 「いつもひとりぼっちで、友達は本だけ。  アダ名は、“お人形さん”」 「お人形さん?」 「お人形みたいに無口で、いわれたとおりに動くから。  からくり人形のお人形さん。  髪も黒髪で長かったからね。  見た目もそのままだったんだよ」  またもや、想像不能。  ボクの知ってる早川さんは、亜麻色のショートヘアーで、よくしゃぺって、気に入らないことは絶対しない女の子だもん。 「彼女はそれが、とてもいやだったみたいだけど。  いいかえすこともできなかったんだ。  そのとおりなのは、自分でもわかっていたから。  いいかえしたら嫌われてしまうから。  仲良しの子もできず、誰にもいえず、ずっとひとりで抱え込んでいたんだ。  ホントは、仲良しの友達が欲しいのにね」  なんか、ボクは自分のことをいわれたような気がした。 「人づきあいが苦手っていうのかなぁ。  相手の中への飛び込み方がわからなくて、びくびく、おどおど。  仲良くなれる方法なんて、見当もつかなかったんだよ」  ボクもよくわかる…。  休み時間もひとり。放課後もひとり。  話しかけられることはないし。  あってもそれは、ボクをオモチャにするため。  だから、自分からは話しかけられない…。  うん。そうだね。  話しかけたら、きっとオモチャにされるもの…。 「でも、さやちゃん、体験教室で気づいたみたいだよ。  仲良くなりたかったら、自分からしてあげたらいいんだ、って。  とっても、うれしかったんだろうね。  ひまわりみたいに笑って、僕に話してくれた。 “ありがとう”っていい言葉だね、って。  そういわれたのも、はじめてだったのかもね…」 //  立花先生、なんだか、とてもうれしそうな表情…。  立花先生、そのときのことを思い出してるのかな…。  なんだか、とてもうれしそうな表情…。  ボクはなんだか…、モヤモヤと、…チクッと…こう……。 「キミ、さやちゃんとは今日、出会ったの?」  いきなりボクの話しになって、ちょっと慌てた。 「え。う、うん…そうです」 「かわいい子だろ?  僕は嫌われてるけどね」 「え? 先生が?」 「うん。君と同じ。  フロッピーの穴にいれろって、フラれた」  ふたりで笑った。 「さやちゃんはね、自分の気持ちを伝えるのが苦手なんだよ。  人の二倍くらいね。  そこだけは、変わらないみたいだね」  それって…どういう意味だろ…?  昔の早川さんならともかく、いまの早川さんなら、遠慮なくズケズケいっちゃう気がするけど。  ボクやブータにいったみたいに…。  首を捻るボクに、立花先生はクスッとした。 「僕はね、キミとさやちゃんには、仲良しになってもらいたい。  キミがイヤでなければ。  先生としてじゃないんだ。  ひとりのオトコとして、そう思うんだ」  その意味はよくわかった。  早川さんと仲のいい友達になってほしい。  それはイヤじゃなかった。  早川さんへの憤りみたいのは、トイレでなくなってたし。  先生の話しを聞いて、ボクと同じだったなんて思うと、親近感が涌いてくる。  なによりそれなら、もっと仲良くなれるような気がしたんだ。  それに…。  先生は、“ひとりのオトコとして”っていってくれた。  年もちがうし、背丈もちがうけと、一緒に肩を並べた感じ。  わるい気はぜんぜんしないね。 「どうかな?  キミの悩みは、解決したかな?」  立花先生が微笑んで、そう聞いてきた。  解決したワケではないけど。  先生と話して、気持ちはけっこうかるくなった気がする。 //  正直、早川さんと顔を合わせたら、どうしていいかわからなかったんだ。  でも、少なくとも、避けずにはいられそう。 //-- 「ありがとう、先生。  お陰で秘訣みたいなのもわかりました」 「秘訣?」 「処女キラーの」  しまった。うっかりいっちゃったよ…。  先生、とても驚いたみたい。目がまんまるくなっちゃってる。 「あははっ。  キミはホントにおもしろいね」 「ご、ごめんなさい…」 「いいって。僕もいわれてるのは知ってるし。  不本意だけどね」  あ〜、やっぱりそういわれるのは、イヤなんだね。  気をつけなくちゃ。 「僕の好みはどちらかというと、キミみたいなかわいい男の子だからね」  そういって立花先生は、ボクにウィンクした。  じょ、じょうだんなのかな…? *[[◆はじめてのお誘い|萌え小説 14]]へつづく… {{include hatu13・コメ}} {{category 本編,本文,nolink}}