!!!はじめての淑女協定 // {{ref_image BG27a_80.jpg,bgPic}} //--  いつもの放課後。  更衣室を出ると、さやちゃんと美代ちゃんが仲良く談笑してた。  さやちゃんはボクを見つけると、ニッコリ笑顔を向けてくれた。 「これから倶楽部?」 「う、うん。さやちゃんは、新体操部?」 「中等部とね。合同練習」  体操着なんて見慣れた服装なのに、さやちゃんの目がボクの首辺りに止まった。  隣の美代ちゃんは、真っ赤なおデコで俯いちゃった。 「ふ〜ん…」  かわいらしい、ピンクの首輪は美代ちゃんの。  『佐藤美代のミケ』って書かれてる…。 「アンタって、女の子だったの?」 「へ?」 「美代ちゃんったら、もう〜。  三毛猫って、メスしかいないのよ?」 「そ、そうなの?」  びっくり顔の美代ちゃんに、ボクは吹き出しちゃった。 「あはは。美代ちゃん、うっかり屋さんだね!」 「ねぇ、ハジメ?  スカート、履いてみない?」 「や、やだよぅ〜」  さやちゃんの冗談って、冗談じゃすまないんだもん。  いつかホントに、履かされちゃいそうだよ…。 「うふふ。はじめくん、似合いそうだね!」 「美代ちゃんまで…やめてよ、もう…」  ため息でちゃうよ。 「ねぇ、さやちゃん?  あとで、図書室で会える?」  話しをそらせて聞くと、さやちゃんはニベのない返事だった。 「あ〜ダメ。  今日は遅くなると思うから。  きっと図書室、閉まっちゃうわ」 「残念…」  今日は“週刊きょうりゅうのかがく”が入る日。  だから一緒に見ようと思ったのに。 「なに? 美代ちゃんとシたあと、あたしともシたいの?  絶倫スケベ!」 「はじめくんの浮気者…」 「そ、そんなんじゃ…」  ニヒヒって、さやちゃんはイジワルに笑って。  ぷうっと、美代ちゃんはほっぺた膨らませて。  ふたりとも、ケンカ中と思えないほどの仲良しぶり。  ふたりでボクが困るのを、楽しんでるみたい。  仲良しはいいけど…ため息でちゃうよね。 「安心なさいよ。  明日はあたしの首輪♪」  そういうと、さやちゃんはチュッと、ボクの唇にキスをした。 「あー!! さやちゃん、淑女協定!」 「まだ部室じゃないも〜ん♪」  ベーってしながら、さやちゃんが走り去って。  美代ちゃんはプンスカしながら、頬を緩ませてた。  ボクはまだ、曖昧に顔を赤くするしかなかった。  うん。そうだよね?  きっとね、優柔不断って、みんなは笑うかもしれないけど。呆れるかもしれないけど。  ボクらはまだ初等部だもの。  少しぐらい曖昧があっても、いいよね…? {{metainfo}}