!!!はじめてのプール  市川さんに話しかけられた日。  ボクは職員室から教室へ戻る途中、廊下で三人の女子を見かけたんだ。  しゃがんで、水の入ったバケツを囲んで、中を覗いてた。  その日はプール掃除があって、プールに住みついたヤゴが、バケツの中に保護されてたんだ。  女子はたぶん、五年生かな。  プール掃除は五年生がやることになってたから。  三人とも体操着が濡れてて、ピンク色のブラが透けちゃってた。  やっぱり五年生になると、みんなつけてるんだね。 //こよしちゃん {{ref_image 05koyosi.jpg,evPic}} // 05koyosi.jpg  見てたら、お下げ髪の子と目が合って、ニッコリ、微笑まれちゃった。  うん。ドキッとして、早歩きで逃げちゃったよ。  でも、もうすぐプール開きか…。ちょっと憂鬱かも…。  月曜日にプール開きがあって、時間割が少し変わった。  隣のクラスと、体育の時間が一緒になったんだ。  うん。水泳はちょっと苦手。  でも、さやちゃんたちとプール授業なんて、ちょっとうれしいかも。 //プール・サイド {{ref_image BG33a_80.jpg,bgPic}} //--  ボクたちは水曜日が、今年はじめてのプール授業になった。  天気もいいせいか、みんなはしゃいでた。  ボクはそうでもないかな。  水泳は嫌だけど、清太くんたちとの自由時間は楽しみ。アメとムチをもらった気分。  更衣室の前で清太くんたちと合流して、ボクらはふざけあって着替えた。  パンツを脱がされて恥ずかしかったけど、ボクも仕返ししてみたよ。  清太くんが履き替えてるときに、腰のバスタオルをズリ落としたんだ。  清太くん、びっくりしてすごく慌ててた!  ただ着替えるだけなのに、みんなとするとすごく楽しいんだね。  去年まではひとりぼっちで、隠れるように隅っこでしてたから、知らなかったよ。  お陰で着替えがおそくなっちゃった。 {{size 5,"「うっひ〜〜っ!」"}}  冷たいシャワーと消毒液に悲鳴をあげて、ボクらはプール・サイドに出た。  陽の光に、プールの水面がキラキラしてた。  たぷん、たぷん、って水の音が、笑ってボクらを手招きしてるみたい。  気持ちよさそう。  泳ぎが苦手なボクには、毎年、憂鬱な光景だったけど、今はなんだかウキウキしてた。  きっと清太くんたちのお陰だよ。  うん。そうだね。  友達がいるプールなんて、はじめてだもんね。  清太くんが、水着の澄子ちゃんたちを見つけて、側に寄ってからかった。 「澄子ぉ〜。  しばらく見ねぇウチに、大きくなったんじゃね〜?」 「莫っ迦みたい!  毎日見てるクセに」  ベーって、澄子ちゃんは舌を出した。 //澄子の水着、ブルマーの小梅 {{ref_image 05sumikoume.jpg,evPic}} // 05sumikoume.jpg  スラッと背の高い澄子ちゃん。  胸はそんなでもないけど、紺色の水着が細身と長身を引き立ててた。  いつものポニーテールはなくて、長い髪を水泳帽に納めてる。  綺麗なうなじが、なんていうか…セクシーだった。  隣にいる姫川さんは、体操着姿。 「小梅は見学か」 「ちょっと風邪気味なんだって」  澄子ちゃんが、肘で半太くんをつっつく。 「心配よね〜、半太?」 「そ、そんなコトねぇよっ!」  なんていったクセに。  半太くん、姫川さんに自分のバスタオルを預けるんだ。 「掛けてろよ…」 //  だって。「そんなコトある」ってミエミエ。  うふふ。「そんなコトある」ってミエミエ。 //--  ボクはクスッてしてから、さやちゃんを探した。  さやちゃんはそう離れてもいないところにいた。  なんだかヤル気まんまんで、さっそく準備運動をしてる。  競泳用なのかな…?  さやちゃんの水着は、女子のみんなのとちがってた。 //さやちゃんの水着 {{ref_image 05saya.jpg,evPic}} // 05saya.jpg  色は紺色より明るめで、藍色か濃い青紫って感じ。  生地が分割されてなくて、白い肩紐が大きく開いた背中でクロスしてる。  すごくかわいい!!  身体にピッタリ、フィットしてて、ぽっこりお腹の曲線が、なんか、艶かしいんだ。  緩やかな腰や、まん丸のお尻のラインも、見とれちゃうくらいかわいらしい…。  あ! でもでも、イヤラしい意味じゃないよ?  ホ、ホラ、アレ、アレだよ! ゲージュツ的ってヤツ!! 「ん〜? 鈴代くん、鼻の下が延びてるぅ〜」  って、澄子ちゃんがニヤニヤ笑いで、ボクのほっぺたをつっつくんだ。 「そ、そんなコトないよ…」  ボクはほっぺたを擦ってゴマかしたけど…。  どうしても、さやちゃんに目がいっちゃう。  さやちゃんがボクの目を見つけて、ニコッと笑いかけてくれた。  水面に反射した光が、さやちゃんの笑顔をキラキラ、眩く輝かせてた。  うん。自分でも、顔が真っ赤なのがよくわかったよ…。  もうどうしていいかわからないくらい、逆上せあがっちゃってた。  そしたら、清太くんの呟きが聞こえたんだ。 「ブ、ブルマーだ…」  清太くんの見てる方を向くと、ゆり先生がプール・サイドへ出てきたところだった。 //ゆり先生のブルマー {{ref_image 05yuri.jpg,evPic}} // 05yuri.jpg  ゆり先生はジャージじゃなくて、半袖体操着のブルマー姿だった。  水に濡れるからなのかな? 「マニアックだな、先生。  水濡れブルマーを見せてくれるのか…」 「マニアックなのはおまえだ、オヤジ…」  別に女子のブルマーなんて、体育の時間で見慣れてるけど…。  ゆり先生のブルマー姿は、初めて見たかも。  おっきなお尻のエンジ色のブルマー。  ニョキッと、白くてムッチリの太股が生えてて、スラッと延びた足がとってもキレイ…。  上は見慣れた、白い半袖体操着。  だけど日差しのせいか、胸のふたつの膨らみが、やけに眩しいんだ。 //  思わず目を奪われて、呟いちゃった。 「やっぱり、おっきいね…」  思わず呟いちゃった。  それが清太くんに聞こえたみたい。 「うひひ〜。鈴代もおっきくなったか〜」 「や、やめてよぅ〜」  清太くんがボクのおちんぽをはたいて、ボクは必死に防御して。  ふざけあってたら、さやちゃんが目に入ったんだ。  腰に手をあて、直立不動。口をトン尖らせてボクを睨んでた…。  ゆり先生に見とれてたのがわかったみたい。  あう…。あとがコワイ…。  ピッ! ピッ! って、小田先生の笛に合わせて、ボクらは準備体操してた。  プールを挟んで、向こう側に女子、こちら側に男子が一列に並んでる。  みんな同じ、紺色のスクール水着だけど、背もちがうし、体つきも少しずつちがう。 「やっぱ、森山が一番、デケぇんじゃね?」 // 森山さん 「だな。アレはもう中等部級だ。  65点」 「64点」「62点」「60点」  うん。そうなんだ。  清太くんたち、準備体操しながら、女子の水着審査をしてるんだ。  水着姿の女子が、一列に並んで、目の前にいるんだもんね。  わからなくはないよ。  でも、女の子に点数つけるなんて、失礼なんじゃないかな…? 「プロポーションなら、やっぱ早川じゃね?」  ピクンって、ボクの耳が動いちゃった。 「うん。あの水着はポイント高いな。  胸はないけど」 「バッチえろカワだ。胸はないけど。  69点」 「67点」「70点」「68点」  みんな、点数辛いね。  ボクなら百点満点つけちゃうのに。 「だが待ってほしい。  アレは鈴代のご主人さまだぞ?」 「……」「……」「……」「……」  なんか、視線がイタイよ? {{size 4,"「失格」「失格」「失格」「失格」"}}  {{size 4,"え〜〜〜!"}} 「鈴代は何点なんだ?」 「ひゃ、{{size 1,"百点…"}}」 // 「えこひいき〜〜」 // 「買収されてんぞ、この審査員」 {{size 4,"「ハニトラだ」「ハニトラだ」「ハニトラだ」「ハニトラだ」"}} //--  {{size 4,"え〜〜〜?!"}}  ――って、ハニトラ{{fn ※.ハニトラ=ハニートラップ。色仕掛けなどで、弱みを握られているなどを指す。応用例:ハニ垣、江田ハニ月}}ってなんだろ?  あとで聞いてみよう。  でも、水着って不思議だね。  みんな、魅力的に見えて、ワクワクしちゃう。  そういえばこんな風に、意識して見たことなかったね。  プールは憂鬱な授業だったから、それどころじゃなかったんだね。きっと。 「ねぇ、澄子ちゃんは?」 「澄子かぁ…。背丈あるクセに、イマイチ、おっぱいがなぁ〜」 「だな。61点」 「う〜ん…62点」 「20点。  オレに隠れて、ひとりでケーキ食ってやがったんだ」  あはは。そーゆーのも採点に入るんだ。清太くん。  でもさ、採点基準って、ちょっと気になるよね。 「ねぇ、百点の基準って、ダレなの?」 「もちろん、ゆり先生だ。同志おっぱい星人!」 「うん」「うん」「うん」 「今日は赤ブルマーだから、+40点の140点だな」 「オヤジ…」「オヤジ…」「オヤジ…」「オヤジ…」「オヤジ…」  なっとく。それじゃ、誰も満点とれないよ。  ゆり先生と比べたら、みんなまだまだコドモだもん。 「あれ?  鈴代、佐藤 美代はどうしたんだ?」 「風邪で休んでるんだ」 //  ボクもちょっと残念…。  うん。そうなんだ。  佐藤さんは週明けから、風邪で欠席つづき。  ボクもちょっと心配。 「学年アイドル不在か…」 // 「でもこうして見ると、粒揃いだよなぁ。 「でもこうして見ると、女子のレベルたけぇよな。 //--  オレたち、ツイてるぜ〜♪」  ツイてるって、なんだろうね。  たしかにみんなかわいくて、目の保養だけど。  それとも、なにか企んでるのかな…? 「次の審査は、恵子とみすずか。  50点」 「50点」「ご、50点…」{{size 4,"「みすずちんに汚れた目を向けるな〜!」"}}  {{size 5,"ピーーーーッ!!"}}  突然、大きく笛が鳴って、ボクらはびっくりしちゃった。 「ソコ! 私語は慎む!  じゃないと、海パンで校庭十周よ?!」  小田先生がボクらを指差して、クスクス、みんなに笑われちゃった。  あう…。  清太くんたちと一緒は、いつも楽しいけど。  馴れないなぁ、この気恥ずかしさだけは…。 {{footnote_list}} {{metainfo}}