!!!愛娘ッ! 許嫁ッ?! {{category 本編,愛娘ッ! 許嫁ッ?!,nolink}}  どうやって人魚を{{ruby "捕まえる","ハントする"}}のかは、しばし章を置き。  まずはひとりの少女を紹介せねばなるまい。  それは二つ目の紋章が集まる、ちょっと前のこと…。 !■人魚姫の玉室。 /// {{ref_image hime_sleep.jpg}} ///==  眠ったままの人魚姫を見つめつづけ、ハンス(仮名)はとろ〜んと夢見心地であった。 「姫さまの寝顔、かわいいね…」 「ま、まあね」  ハンス(仮名)の隣で、飛び猫・ニーヤが鼻を高くした。  主人を褒められるのは、わるい気がしないのであろう。 「でも残念だなぁ…。  今日はお話しができると思ったのに…」 「そうね…」  人魚姫は“封印の眠り”という呪縛で、大半は眠ったままである。  眠った姫君と話しができるのは、唯一、飛び猫のニーヤだけ。  ニーヤを介して話しは伝わるものの…。  直接、言葉を交わせないのは、残念で仕方がない。 「でも、かわいい寝顔が見れるからいいかなぁ〜」 「うふふ」  ハンス(仮名)の無邪気な呟きに、思わずニーヤは微笑をこぼした。 「ホントに、かわいい唇だよね〜。  キスしたくなるよね〜」 「……」 「キスしたら、起きてくれるかな…?」 「……ちょっと」 「そうだよっ! キスしてみよう!!」 「や、やめなさいってっ!!」  いうが早いか、ハンス(仮名)はタコのような唇を人魚姫へ延ばし、飛び猫はキスをさせまいと、慌ててハンス(仮名)のマントを引っ張った。 「離してよ、ニーヤ!  ボクは姫さまの呪縛を解いてあげたいんだ!」 「キスしたいだけでしょ!  この色情狂っ!」 「ピアスがいってたよ!  王子さまのキスで目覚めるって!!」 「そんなワケあるかっ!  だいたいアンタは、“元”王子でしょうが〜っ!」  非力な男の子といえど、猫の力に負けるワケがない。  マントを掴む飛び猫はグイグイと引っ張られ、ジリジリと醜いタコ唇が、麗しい姫君の唇に近づいていく。  もはやこれまでか…という時、飛び猫が叫んだ。 「アッ!!  ハンス(仮名)の背中の上で、縞パンのメイド妖精が、スカートめくってリンボーダンスしてるわっ!」 「エッ?! ドコドコ?!」  急激に力の方向が変わり、ふたつの体はバランスを崩すことになった。  ハンス(仮名)の体が飛び猫に覆い被さり、そのタコ唇は飛び猫の唇へ向かう。  ヒッと青ざめた飛び猫は、ハンス(仮名)の体に押されて倒れ込んだ。  ところで言い忘れていたのであるが。  この部屋には人魚の姫君のために、小さなプールが設けられているのである。  そしてふたつの体の行き先は、そのプールであった…。 !■ズブヌレの少年と猫は廊下を歩いていた。 {{ref_image ni_corridorB01_a.jpg,pic}} 「もう…アンタのせいで、エライ目にあったわ…」  ブルブルっと生乾きの毛並みを震わせ、飛び猫はボヤいた。 // 「飛び猫がわるいんじゃないか…もう…」 // 「アンタねぇ…」  ポタポタ滴り落ちた水滴を、メイドさんがモップで拭き取る。  ハンス(仮名)の目は飛び猫ではなく、メイドさんに向けられていた。 「でへ…三つ編みメイドさん、かわいいなぁ…」 「少しは反省しろっ! この色ボケっ!」  ニーヤはミサイルキックを浴びせた。 「ぐぎゃっ!」 「きゃっ!」  堪らずよろけた体を、ひとりの少女が受け止める。  まだまだ幼い、可憐な美少女である。  垢抜けないながらも、その異国の旅装姿は、少女の可憐さを十二分に引き立てている。  少女はハンス(仮名)の顔を見ると、朝日のように顔を満面に輝かせた。 /// {{ref_image sfia_high.jpg}} ///== {{size 5,"「ハンス(仮名)ッ!!」"}}  名を呼ばれて飛びつかれ、ハンス(仮名)は心底、驚きの声をあげた。 {{size 5,"「ス、スフィアッ?!」"}} 「会いたかった、会いたかったよ〜ッ!」  頬を擦り寄せ、涙ながらに抱きつく、その様子…。  どうも、ただならぬ関係のようである。 「だれ、この子……?」 「え〜と、この子は――」  飛び猫は糸のような目を作り、ハンス(仮名)は頭をポリポリ。  少女・スフィアは飛び猫に満面の笑みを向けた。 「可愛い猫さん、こんにちわ。  あたし、ハンス(仮名)の一番の愛娘、スフィア!」 「ふぅ〜ん、ハンス(仮名)の娘……」  飛び猫はジットリ、不穏な眼差し。 「そんでもって、ハンス(仮名)の…  い・い・な・ず・け。  きゃはっ!」  ポッと赤らめた頬を、スフィアはかわいく両の手で挟んだ。 「ふ、ふぅ〜ん。い、許嫁ねぇ……」  飛び猫の爪が光る。 {{size 4,"「捜したんだよ、ハンス(仮名)ッ!!」"}}  スフィアは再び飛びつくと、ハンス(仮名)の頬にキスの嵐を降らせる。 {{size 4,"「こんな子供にまで手を出してたか!"}} {{size 4," このロリコンめっ!!」"}}  飛び猫はハンス(仮名)に飛びかかると、鋭い牙と研ぎ澄まされた爪を食い込ませる。 {{size 5,"「ぎぃあぁぁぁぁぁッ!!」"}}  廊下に響くは、ハンス(仮名)の悲鳴…。  まさに天国と地獄の光景であった……。  なにやら波瀾を予感させ、ハンス(仮名)には悪寒を抱かせる、美少女・スフィア。  しかし、そのドタバタ喜劇は、のちの悲劇。 //  はてさて。 //  ドタバタ喜劇は、のちの悲劇。  いまは物語を、スフィアやってくる前に戻す… //{{counter2 mer02Count}}